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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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以前から読みたいと思っていた、『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』を、ここ数日ちょっとがんばって集中して読んでみた。

アメリカの中東外交がイスラエル寄りであるのは常識だが、まずそれが想像を絶するほどそうであるという事実をつきつけられ、そのうえで、アメリカの政治中枢のイスラエル・ロビーによる牛耳られぶりにいたっては、信じがたいほどに飼いならされていることを知る、これは大変貴重な体験でした。イスラエルによる占領地からの撤収という、幾度とない国連決議などの国際的合意事項の履行を求めるだけで、その主張者は「反ユダヤ主義者」のレッテルを貼られ、大きな社会的制裁を受けてしまうから、閣僚も国会議員もジャーナリズムも揃って、「約束は守りましょう」というシンプルかつファンダメンタルなモラルさえ語れないありさまなのだ。

著者たちは、だからといってイスラエルの生存権を認めていないなんていうことはなく、リアリストらしく二国家共存を追及すべしと繰り返し述べているが、一番言いたいことは、ずばり、「イスラエルの人たちの平和と安全のために良かれと思ってやっているロビー活動が結果的にはイスラエルの不利益を引き起こしている」という主張で、イラク、シリア、イランとの近年の外交・軍事行動の軌跡と帰結を示しながら、実に説得力をもってこの主張を実証してくれている。

この二人の勇気ある真の愛国的論客の衝撃の書は、各方面に大きなインパクトを与え、その主張のいくばくかはオバマ政権のポリシー・メイカーに踏襲されていることが期待されているけれど、共和党・民主党を問わずこれら協力なイスラエル・ロビーにここまで飼いならされている状況を知ると、オバマに対しても楽観的な幻想をもつことは憚られるというもの。

同時期に、知人から俗にいう陰謀論の方面の入れ知恵をされ、半信半疑ながら、そっち方面の議論にも興味をもちはじめたら、アマゾンでの『イスラエル・ロビー~』本のおすすめリンクをたどっていくと(「新世界秩序」というタグを例えばクリックしてみよう。)、この本の訳者である副島氏のものを含め、この手の書籍のなかでも出典・証拠に基づく「良書」とされている数冊の本の存在に行き着く。マスコミがいつにもまして信頼できない今日、こういう文献にも片足をつっこみつつ、真実のありどころのだいたいの位置関係を見定める努力が必要と思うこのごろである。



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先週初めて行って味をしめたMAKANに、今週もまた出かけてみた。
今回は、レギュラーではなく、スーダンからはるばるやってきてくれたSETONAさんという女性シンガーとそのバンドたち。これもやっぱり20LEで見れるなんて、いいんでしょうか??

案内には、SETONAさんの名前に枕詞で、'QUEEN OF HENNA"(ヘンナの女王)と書いてありました。
ヘンナっていうのは、たいへんいい香りのする緑色のハーブで、これを水で溶いて、専ら女性が結婚式などの儀式で手や足に美しい模様を書くやつですね。不勉強な僕は、これはインド亜大陸だけのものと思っていたら、エジプトでも一般的だし、南の隣国スーダンでも生活に根ざしているんですね。

で、このSETONAさんは、職業はプロの歌手で、ヨーロッパでもよく公演をしている世界的なアーティストだそうだですが、もう一つの顔がヘンナ・アーティストで、やはり結婚式などで、女性にヘンナを施してやるわけですが、その傍らで伝統的なダンスや歌を教えてあげたりしているのだそうです。ネット上でそんな彼女を紹介しているサイトがないかなと思って検索してみたら、You Tubeに、アルジャジーラ制作番組の映像の一部がありました。

アラビア語になってますが、イメージだけでもつかめるでしょう。


ご参考までに、MAKANからの案内文を紹介します。
Setona, also known Queen of Henna, came to Cairo in the late 80's from the Sudanese capital, Khartoum. Setona's main profession is a singer at traditional weddings, as well as on the international stage. Although she is also known for her traditional henna painting, this art also involves singing as she starts by decorating the bride with henna designs, teaching the women Sudanese dance and singing traditional songs during the ceremony itself. When she first began to sing, Setona was accompanied only by a frame drum. Today, this internationally-known performer fronts a fourteen member band, consisting of keyboard, guitar, bass, percussion, brass, section and chorus. More recently, Setona has taken her talents to the stage and cinema, performing with the Egyptian theatrical group, El Tali'aa, both in Cairo and abroad and as a film actress success in Egypt.


いや、今日のコンサート、すごかった。
SETONAさんの脳天から天空へ突き抜けるような力強い歌声、そして先週のオンム・サーメハ同様、ふくよかなお姿に満面の笑みが放つ、どこまでも陽気なオーラ。最高です。

彼女が使う楽器もまた見所。脱穀のための臼と杵。杵でガンガンと臼の底をたたきつけ、バンドアンサンブルの核のリズムを彼女がリードします。歌と音楽が、生活と地続きで繋がっていることを表しているんじゃないでしょうか。サポートするミュージシャンたちの楽器もユニークで、杵臼と並んで衝撃だったのが、金だらい。ブリキのたらいに水をはり、中にココナツのような硬い実かなにかを沈めて、それをバチでたたきます。これも、音響的にも面白い効果を出してますが、意味論的にも臼杵と同様に、台所を表象しているんじゃあないでしょうか。

SETONAさんのアルバム、
iTunesにもありましたんで、興味をもたれた方、ぜひ聴いてみてください。

きのう、Mohamed El Sawyさんご夫妻と夕食をご一緒した。

彼が創設して代表をつとめる文化センター、El Sawy Culture Wheelで仕事の打ち合わせをしてから、場所を変えて食事をしたのだけど、面会の前に書店に立ち寄ったら、月刊英字誌EGYPT TODAYの最新号の表紙にSawyさんの素敵な笑顔がバーンと出ていたので、タイムリーとばかりに衝動買い。作家で文化大臣にまでなったお父さんの影響、エジプト社会にとって必要な文化的啓蒙と開かれた議論の場についての彼の持論、彼の家族観などが丁寧に取材されているいい記事だった。(記事は→
ココで読めます。)

El Sawy Culture Wheelは"SAQIA"という愛称で呼ばれているが、SAQIAとは水車の意味。Culture Wheelの"Wheel"がそれにあたる。「なんでWheel、水車なのかなー。」と前から疑問に思っていたのだが、この記事でそれがお父さんのAbdelmonem El Sawy氏の未完の小説の名前からとったものだということがわかった。全5巻のうち4巻までが刊行され、最終刊が未完のままに亡くなった父の遺志を、Mohamedさんは、文筆ではなく文化の事業でもって受け継いでいる。記事は、こう格好よくしめくくられていた。

この日、事務的な打ち合わせのあと、有名なテレビコメンテーターと聴衆との政治参加についてのディスカッションがSAQIAの会場で行われるというので、夕食はかなり遅くになったのだが、SAQIAではコンサート、展示、映画といった芸術だけでなく、こうした議論やレクチャー、子どものためのワークショップなど多彩な文化プログラムが毎日盛りだくさんで、閑古鳥が鳴いている施設が多いカイロの文化施設のなかでは異色の盛り上がりを見せている。いついっても、ここだけはキラキラした若者のエネルギーであふれかえっている。

「インターネット時代になって、若者の政治的発言の場が出来てきて、それが横につながりつつある。それはとてもいい傾向だと思う。僕らは、彼らが顔をあわせて議論する場を作って、公の空間で責任をもって主張することを学んでもらっている。『だれだれは独裁者だ!』というような紋切り型の感情にまかせた発言はどこにも着地点がない。批判は多いに結構だが、具体的に、その政策のどこがどのように問題なのかを説明する議論が出来なければいけない。」

という発言は、まったくおっしゃるとおり。

僕らは、今年、ここでジャズコンサートとヒロシマ映画特集、そして一昨年前から始めた折り紙コースを、この魅力あふれる人間がリードする活気ある文化センターで、彼らと一緒に作っていく予定。

エジプトにSawyさんがいてくれて、SAQIAがあってくれて、ありがとう!

心からそう言いたい。

通称MAKAN(マカーン)と呼ばれている、コンサート施設がある。
直訳すれば、「場所」っていうことになるのかな。

運営組織の正式名称は、Egyptianl Center for Culture and Art。
サアド・ザグルール廟のお隣にある、こじんまりとしたライブハウスのような場所。

うちのタハリールのオフィスから歩いて10分くらいなのに、2年以上カイロに住んでいて、昨日初めて訪ねてみたのだけど、そんなに長いことこの素晴らしい音楽と出会わずにいたことが残念でならないと思わせる、生きたホンモノの音楽と出会った。

エジプトの音楽に興味はあったけれど、それはすぐにオンム・クルスーム、現代でいえばアムル・ディアブといった大衆歌謡曲の世界しか知らずにいたわけで、やっぱりどの土地にも必ずあるフォークロリックな土着の豊穣な音楽世界っていうのがあるのですね。エジプトにもちゃんとありましたよ。


で、昨日のコンサートは、Naas Makan(マカーンの人々)と題して、この場所で演奏するミュージシャンが勢ぞろいして、フュージョンな世界を見せてくれるという趣向。ドラム、エレキベース、トランペット、サックス奏者が、伝統音楽に現代のノリを添えている。民謡のほうから、デルタの”ジプシー”ミュージシャンたち、そして、シャーマンの音楽Zar(ザール)のひとたち。

もう、アーシーで、かっこいいったらない!
しかも、みんなほとんど普段着!!ショービジネスできらびやらかに脚色された大衆音楽の世界とは一線を画した、生活に根ざした音楽の土地との一体感を強く感じさせる、親密な音楽だ。

そのなかでも、強烈な引力を発していたのが、ザール歌手のオンム・サーメハ(サーメハのお母さん)。本名は、Fatma Emaraさんという(帰り際に買ったCDに書いてあった)。妖艶というのでは違う。その落ち着き払った目から発しているふくよかな包容力がすごいのだ。歌がうまいとか下手とかいうテクニックの問題をはるかに超えたところで、音楽が人間とスピリチュアルな世界との間を交信する機能を果たしていて、会場全体がその豊かな空間にどこまでも酔いしれていく感覚。

これが20LE(約350円)で堪能できるなんて、贅沢すぎます。


一人で勝手に盛り上がっているのも失礼なので、Youtubeを検索してみたら、このオンム・サーメハさんの歌がいくつかアップされていたので、おすそわけします。


カイロにいる人は、現場で体感せよ!!

というわけで、火曜日はNaas Makanの日、ザール・ミュージックを単独で味わえるのは、別途水曜日。


カイロの隠れ家的なライブハウス、MAKANは、なかなかな雰囲気のある場所。単にコンサートをやっているだけでなくて、こういう活動を通じて、死に瀕しているいくつかの希少な音楽の振興をはかっています。

公演やCD販売の収入の一部が、アーティストの生活の足しになっているのですね。買ったCDのライナーノーツを読んでいると、ザールの音楽家は全国で25人、ジプシー音楽で使われる、二つの音が出る笛ARGHOULの奏者は3人しかいないらしい。

せっせとコンサートに行って、友達にも宣伝して、彼らの生活を、音楽を、守っていきましょう!


MAKANのウェブサイトは、ココ。http://www.egyptmusic.org/
ビラーディーの会でアラビア語の歌を練習しているが、せっかくW先生が単語集をまとめてくれているにもかかわらず、歌詞の意味がイマイチつかめないままだ。でもそうすると、当然にして、歌を歌うことの快楽の半分が殺がれていることになっており、自業自得とわかりつつも面白くない。

てっとりばやく英訳で意味をつかめたらいいなと思ってGoogleを検索していたら、素晴らしいブログがありましたよ!!

それが、
コレ。その名もArab Song Lyrics and Translation。たいへんな労作です。感謝感激です。

オンム・クルスームの歌も35回ポスティングされてます。

最近読んでいるオンム・クルスームの伝記的小説、"I Loved You for Your Voice"ですが、だんだん佳境に入って面白くなってきました。巻末をパラっとめくったら、そこに主人公の詩人の名前が書いてありました。Ahmad Ramyという人で、二百曲あまりあるオンム・クルスームの楽曲の半分ほどの歌詞を彼が書いているのです。愛し合いながらも、国民的大スター歌手であるがゆえに成就できない関係が、とても痛々しいです。でも、その愛憎愛半ばする関係からこそ、時を経ても廃れることのない名曲として、いまもアラブの人々に愛唱されているんでしょうね。


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