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今日、事務所内のミーティングでアレキサンドリアの治安の話題になったとき、エジプト人スタッフからアレキの治安部隊本部にデモ隊が入り込み公文書を押収したというような話を聞いた。そのときは「ふーん」という感じで何が起こっているのかよくわかっていなかったのだが、夜8時過ぎに帰ってツイッターを開くと、どうもカイロでも治安部隊本部や内務省に群集が押し寄せ軍との間で緊張が高まっていて、内務省前で軍が発砲したらしいと気がつく。
最初はリビアかどこかのことかななどと寝ぼけた錯覚をしていたが、発信者はカイロ在住者のようだし、どう考えてもカイロでライブでおこっていることらしい。現場にいる複数の人たちのつぶやきを組み合わせると、アレキ同様、庁舎内に入って治安部隊の数々の所業が書かれた文書を入手しようとしたデモ隊が、軍とどこからか組織されてやってきた暴徒のはさみうちにあい、デモ隊の何人かが兵士に武力でもって威圧され、ある者は拘束され、ある者は追い払われたようだ。付近の住宅から火炎瓶が投げ込まれたというつぶやきも混じってきて、現場で何がおきているのか混乱してくる。また、ある人は拘束されたのは、暴徒からプロテクトするためだとわかったと書き、ある人はこれまで築かれてきた軍と市民の間の信頼関係が損なわれたと嘆いた。
あるオブザーバーが、軍とNDPの旧権力者が演出した衝突の匂いがすると発言。おりしも米国防長官Robert Gatesがエジプトにやってきいて、現場からのツイートは、この二日間でデモ隊が入手した文書のなかに、公になっては困るトップ・シークレットが含まれているから、この緊急事態をなんとかするためにやってきているのではないかと推測していた。いくら市民の信頼を得ているとはいえ、ムバラク体制を支えてきた軍が、国民に知られたくない文書をたくさん抱えていることは想像に難くないから、市民をやすやすと通すわけにはいかない。だからといって、1対1の関係で武力を行使すればここまで築いてきたものがすべて壊れるから、旧政権の息がかかった悪者を組織して、市民間の対立を演出、これを防ぐ名目で威嚇してデモ隊を追い払うというのが狙いだったと考えられなくもない。
それが事実かどうかよりも、市民のなかに軍に対するぬぐいがたい不信感が生まれたことが、どのくらいこの先の政治プロセスによくない影響を及ぼすかが気になるところだ。
昨日も、ヘルワンのシャフィーク前首相自宅前で、シャフィーク指示の千人のデモがあった。土曜日には何者かによってコプト教会が燃やされ、今夜、国営放送局前や10月6日市でコプト教徒たちの抗議デモが行われたという情報も入ってきている。カイロ大学では、ムバラクの息のかかった教職員に対する抗議デモを行っていた学生たちに暴徒が攻撃をしたという話も入ってきている。
アルジャジーラのAyman Mohyeldin特派員が、ツイッターで
リンク:Unforgettable night in the Arab TV history (Egyptian Chronicles)
Zeinobiaさんは、エジプトのテレビ番組で首相がこんなに赤裸々に批判され詰問されるのは歴史的イベントだと書いてますが、マスメディアに批判的報道の自由が許されていないなかでは、政治家は番組冒頭のShafiqさんのように自信満々に顎を上げて、コメンテーターや司会をあしらうことができたのでしょう。
ところが、今回は、首相の発言は国民の支持を得られなかったようだし、後半に出てきたAlla Al-Aswanyの執拗な批判的質問に対して、激高して理性的な回答ができなかったことで、どうも軍最高評議会がShafiqを見限ったということらしい。そして、革命グループを中心に国民の多数が望んでいたEssam Sharaf氏を起用することで、軍もまた国民に対してポイントを稼いだわけです。
こうして、メディア上で市民の意見を代弁する知識人や批評家たちに対して、まともな答えをもっていないリーダーは下ろされるという文化が出てくると、メディアを含めたパワーの相互チェック機能が働いて、民主主義がうまく動いていくことが期待できるんじゃないでしょうか。
そして、金曜日のタハリールのデモに新首相自らが下りていって、そして市民の要求を実現できなかったら自分もタハリールに戻ってともにデモを行うと述べるあたりの政治家と市民との接近した距離感は、古代ギリシャの昔話でしか知らない直接民主制を見ているような気がします。
ただ、タハリールが現在の政治を動かす最大勢力であることには間違いないにしても、それ以外の世論も無視できないものがあるし、旧体制の既得権益を持つ人たちが黙って椅子から下りるということも考えにくいので、これからも改革は行きつ戻りつしながら進んでいくのでしょう。3月19日、憲法改正の国民投票。あまりに早い流れには驚くばかりです。
リンク:One thousand turn out to Support Ahmed Shafiq (3月5日Daily News)
Al JazeeraのPeople & Powerという番組のBuilding Egypt's future がとても面白かったので、紹介します。学生から医者からエンジニアから主婦から、立場を超えてエジプト人として運動に集まってきて、侃侃諤諤議論を闘わせながら、軍に対する改革要求を作りあげていきます。この映像を見て、僕は、純粋な民主主義というのはこういうものじゃないかと、いたく興奮しました。
リンク:Buildng Egypt's Future (People & Power, ALJAZEERA)
新首相のEssam Sharafは、都市工学の学者でムバラク時代に運輸大臣に抜擢されるも任期中の列車事故の責任をとって辞任してからは、大学に戻った在野の人。現在ではムバラク体制を批判していて、1月25日から始まったデモに参加していたというのも、革命勢力にとって納得性の高い人事のようです。
当初は首相更迭を求める怒りのデモとして計画されていた今日のデモですが、複数あげている要求のなかでも大きなポイントが実現されたので、少しお祝いモードになるかもしれません。
新首相の自宅近所に住む知人は、この人事をことのほか喜び、彼の人となりを嬉しそうに語ってくれました。貧しいものに施しを与え、病人が出たら自ら病院へ連れていき、地域のために率先して働く人格者だそうです。この人事を喜び、そして地域の改革(壁の塗り替えやゴミ問題改善)を話し合う町内会が昨夜、開かれたとのこと。草の根民主主義がダイレクトに国の政治と連動して、ダイナミックに動いていく。こんなに純度の高い民主主義の実践をそばで体感できるのは、なんと幸せなことでしょう。
ジャジーラのRiz Khanで、ミュージシャンYusuf Islamが、いま圧制からの自由のために立ち上がっている中東の若者にささげた愛と平和の歌My Peopleについて、イスラームや宗教全般が解く平和について、語っています。
Yusuf Islamって、Cat Stevensのことなんだよね。彼のイスラムへのコンバートのこと、よく知らないままだった。Cat Stevens自体も、Mr. Bigが"WIld World”をカバーしたときに初めて知った名前だったから、本当のところ、彼のことを本当に興味をもって追いかけ始めたのはつい最近のこと。
つまるところ、この世の中が平和でないことをイスラームとか特定の自分と違う宗教や信条のせいにするのは政治のやることで、われわれが世界に広めなければならない考えは、このプラネットはみんなの共有の財産で、みんなで大切にはぐくんでいかなければならないということ。そういうシンプルな思いを歌にのせ、世界中の人たちが武器を楽器に代えて一緒に歌い踊ることができればいいと、YusufもJohn Lennonも訴えてきた。
いい音楽を聴いて、仲間たちと音楽を奏でよう。そして、国境を越えて音楽が世界に鳴り響くように、そういう場所を生み出していこう。
というわけで、3月17日から19日まで、Cairo Jazz Festival。Yusufと同じ思いをもった音楽を愛するエジプトの仲間が、この革命で命を捧げた人々のソウルに、この祭典を捧げると宣言しました。
Cairo Jazz Festival dedicates its 3rd round to the Egyptian Martyrs who sacrified their souls in the revolution of Egypt 25 January 2011
目下、ギタリスト渡辺香津美さんをカイロにお招きすべくがんばっています。革命の新しい夜明けに、エジプトと世界の音楽家たちが鳴らす新しい音を聞きにきてください。
カイロ・ジャズ・フェスティバル公式サイト
Yusuf Islam"My People"フリー・ダウンロード・サイト
Riz KhanのYusuf Islamインタビューサイト
3月1日のAhram Onlineによると、革命青年連合は軍最高評議会と今後の政治プロセスについて協議し、3月19日に憲法改正の国民投票、6月に議会選挙、それから6週間以内に大統領選挙を行うと発表したとのことです。
そして、選挙は特別に用意される選挙人カードではなく通常のIDだけで可能とし、司法が責任をもって監督することとしたというのが、ムバラク選挙時代からの大きな進化でしょう。実際、去年11月の下院選挙では、知人は選挙人カードをもらいにいって「今回は出せないから次の選挙のときに申請に来い」と言われたとか、あるいは、投票所まで行ったはいいけれど、入り口前で与党子飼いのチンピラに「誰に投票するか」と詰問され、与党候補者の名前じゃない場合には追い返されたとか、とんでもない話ばかりだったから。それで与党が9割以上の得票率という、独裁国家の操作でしかありえない結果になったわけだから。
それにしても、3月19日国民投票とは、とんでもなく速い展開です。今回の憲法改正は、基本的には民主的選挙を実現するためのミニマムな改正を行うということで、本当の民主憲法制定は、新議会・新政府誕生後の課題ということでしょうか。
これから7月まで、熱い政治の季節が続き、目が離せません。
記事リンク:3/1 Ahram Online
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