忍者ブログ
えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
[14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

カイロ滞在も1年8ヶ月を数えた。二回目のラマダーンがあさってから始まるが、今回はほぼまるまんまラマダーン期間中に一時帰国することとなった。

日本でリフレッシュして戻ってきたら、あっという間に年末になって、カイロ生活も3年目に入っていくことになるだろう。時の流れはほんとうに速い。

送り出されるときに明確な任期を言い渡されないわが組織のことを思えば、この休暇はマラソンの折り返し地点なのか、はたまたまだまだ半分といえるには未熟者ということなのか、そのあたりのことはインシャーアッラー、神のみぞ知るだ。

とりあえず、日本に帰ったら、まずは『1Q84』を読みながら、高校野球をテレビ観戦するという、普通の日本人らしい生活を楽しんでみようと思う。

というわけで、しばらくこのブログの更新はありません。9月下旬、休暇から戻ったら、ぼちぼちと再開いたします。

ラマダーン・カリーム!

PR
7月末、夏休みで5泊6日のトルコ旅行に出かけた。トルコといっても広いのだが、今回はのんびりとイスタンブールを亀のスピードで歩いてみることにして。

都市のシステムの機能ぶりという点でみると、どう贔屓目にみても、カイロより圧倒的にすばらしい。
政治のリーダーシップに加えて、行政と市民社会との分業や連携がうまくいっているのだろう。

まずなによりも、公共交通機関の充実ぶりがすばらしい。空港から市内のホテルまで、電車とトラムを乗り継いで、とても快適に、廉価にたどりつくことができた。そのぶん、交通量もひどい渋滞にはなっていないようだし、信号や横断歩道が存在して、しかもちゃんと動いている!路上駐車で四車線が二車線になってしまっているなんていう、どこかの街で始終見かける光景にも出くわさない。

新市街には、銀座のようなホコ天、イスティクラール通りまであって、子連れで車をおそれずにリラックスしてウインドウ・ショッピングを楽しむことができた。

ここには、ロビンソー・クルーソーという、洋書もとりそろえた本屋さんがあって、目利きの店員さんがいろいろガイドしてくれる。僕は、ここで平積みで紹介されていた1940年代のトルコ語小説の英訳"A Mind at Peace"と、トミ・ウンゲラーの"The Three Robbers"を買い、それから店員さんのすすめてくれたトルコ語の絵本を3冊買った。"A Mind at Peace"の帯を読むと、「トルコにとってのユリシーズ」とあって、トルコの現代文学にとって重要な作品であることが伺われる。

そして、CD屋さんも東京のようにはいかないが、そこそこに充実。超カッコイイ男性シンガー、TARKANの新譜を購入。聞いてみたら、なんと全曲英語で歌っている。もともと世界的に有名なミュージシャンではあるが、いよいよ世界というか、英語圏への市場展開に取り組むということだろうか。勝手な意見だが、トルコ語で歌っていたときのほうが、味がある。なんだかこの英語版は、オリエンタル・フレーバーの効いたマイケル・ジャクソンみたいだ。

それから、DVDを物色していたら、近代トルコ建国の父ケマル・パシャの負の面に切り込んでタブーに迫ったとして、去年トルコでずいぶん話題になったという映画、"Mustafa"を発見!!英語字幕つきということなので、文句なしに購入!

こんな感じで、ずいぶん満足度の高い買い物ができた。

歴史的建築物の見物も楽しかった。トプカプ宮殿は、丸一日かけて、日本語の音声ガイドを聞きながら、のんびりと見て歩いた。宝物殿の驚くばかりの装飾品は、インドや中国から献呈されたものもあって、こういうモノの存在感が、帝国の実態というか、パワーを実感させてくれる。そしてもっと驚いたのが、預言者ムハンマドの外套、ターバン、剣、そしてヒゲまでもが保存されていることだ。6世紀さかのぼったイエスの所持品は残っていないから、預言者というのはなんとなく、教えだけが残って姿かたちがイメージしにくい感じがしていたから、ムハンマドのヒゲとか言われても、僕ら異教徒にはマユツバとしか思えない。トルコ人やアラブ方面からの観光客たちが、食い入るように見つめていて、このコーナーだけ渋滞がひどいことになっていたのも、印象的だった。

ブルーモスクの装飾も、息を呑むような美しさだ。イズミックタイルの青が、照りつける太陽に熱せられた外気の存在を忘れ去れんばかりにすがすがしい。オスマン朝時代、イスタンブールからカイロに派遣されたパシャが、お里恋しさのあまり「ガーマー・アズラク」(青のモスク)というモスクを建てさせたというが、本家のブルーモスクの美しさに触れた後では、それも納得がいく。

世界三大料理とされるトルコ料理も、とまらないおいしさ。でも、モノはシリア、レバノン、そしてエジプトで食べられているものとほとんど同じ規格なのだ。東からやってきた遊牧民が打ち立てた帝国がときとともに周囲の文化を吸収して洗練させていったのが、オスマントルコの歴史であって、最初からトルコ人がここまでの域の文明をもっていたわけではない。彼らが最初に範としたのは、文明の十字路として紀元前から高度な文明を発展させてきたシリアなどであっただろう。トルココーヒーだって、もとをただせば、オスマントルコがシリアから輸入したものだという。中国もしかり、帝国というのは周囲のオイシイものたちを貪欲に吸収して、最高の洗練まで引き上げていくものなのだと、頭ではなく、舌と胃袋で実感したのだった。

しかも7月だというのに暑くないイスタンブール。これではカイロに戻りたくなくなるかと思ったら、1年半も住んだこちらの歴史都市にもなかなかな愛着をもってしまったようで、カオティックでどこか田舎くさいエジプシャンに、ほっと懐かしい気持ちが沸いてきたりもしたのだった。

ザマーレクのハッサン・サブリ通りに、Shrouk社の直営ブックストアがオープンしていたので、タブラ教室の帰りにプラプラ寄ってみた。Shroukから出版されている本が中心なのはもちろんだけれど、それ以外の本もとりそろえていて、アメリカン大学、DIWANに次いで、英語で読めるアラブ関係図書のレパートリーにもうひとつ、新しいオプションが現れた感じ。

他にはなかった感じの本の第一は、マンガ。2冊のコミックが目にとまった。
1冊はレバノンの内戦を描いた作品で、こちらはとりあえず買わずにおいておく。
もう1冊は、その名も『CAIRO』。著者はエジプト人じゃなくって、アメリカ人ジャーナリストの原作をアメリカ人コミックライターがマンガ化したものなのが残念といえば残念。パラパラとめくると、絵がカイロの街の空気感を伝えていて、好感が持てたので、購入。

ea339b8b.jpeg家でゆっくり読んでみると、ちょっとがっかり。アマゾンの商品の説明にあるとおり、いくつかの魅力的なサブプロットのかみあわせ方が強引で、盛り上がりがないままに終わってしまった。エジプト人麻薬バイヤー、イスラエルからの脱走兵、左翼独立系ジャーナリスト、自爆テロをもくろむレバノン系アメリカ人、水タバコに閉じ込められたジン、など、個々のキャラクター設定は魅力的なだけに、構想力の弱さが悔やまれる。

アラブを舞台にしたマンガでは、やはり、ジョー・サッコの『PALESTINE』が段違いに秀逸。土地の人たちからこういう批評精神をもったコミック・ライターが出てきたら面白いのだけれど、アラブ、特にエジプトではコミックを読むという文化があまりないようなので、土壌的に難しいだろうか。
新車がやってきた。

前任から引き継いだ車の調子が悪くなり、完全にポンコツになる前にと思って売り飛ばしたのが5月25日、TOYOTAに新車購入のお金を払ったのが翌26日だから、1ヶ月半もの間、車のない生活を余儀なくされたことになる。

なにが大変かって、役所との手続きだ。無税通関の手続きの書類を外務省に出しても、担当の役人が出した書類をなくしたとかなんとか言って、いっこうに進まない。外務省の許可が降りたってんで、あと数日でおニューな車と対面できるかと期待したら、今度は税関が「外国人は滞在中に一台しか車をもてない」とか言って、前の車を売った時点で車をもつ権利そのものを失ったとかなんとか、イチャモンをつけてくる。外交官とそれに準じるスタッフは、その対象から外れているのは明白だし、外務省のよく書類をなくす担当も問題ないと言っていたのに。

今度は、その税関の問題児を外務省から説得してもらうため、うちの事務所のスタッフが外務省の別の職員に頼んで、税関を最終的に納得させてくれた。「今度こそ!」と思ったら、今度は、外務省のよく書類をなすくほうの職員が、「税関職員が言ったとおり外国人は二台目をもてない。」なんて言って、話を振り出しに戻した。

僕も、事務所のスタッフも、これにはブチきれて、プロトコル担当の大使(つまり彼の上司)に抗議のレターを出して、面会を申し込んだ。そしたら、大使に面会するまでもなく、すんなりと話が通って、ようやく、外務省と税関のすべての壁がとりはらわれた。それが先週末の出来事。

そして、今週、僕のドライバーさんにアレキサンドリアのフリーゾーンに引き取りに出かけてもらったのだが、びっくりするくらい疲れた顔で帰ってきた。無事新車をカイロに連れてきてくれたはいいが、なんで、そこの税関スタッフの一人一人からのチップ要求にさらされ、大変な思いをしたとか。

役所のしかるべき役職をもったスタッフが、なんだかんだ言って業務をダラダラと引き延ばすのも、どこかでワイロを求めてのことなのかしらないが、とにかく役所が上から下まで深刻なコラプションと機能不全に陥っていることは、明らかだ。

そして、外国人だけでなく、土地の人たちもこれには悩まされている。うちの事務所のすぐ前にそびえる巨大な政府合同庁舎「ムガンマア」の機能不全ぶりをコミカルに描いた映画『テロリズムとケバブ』を日本で見たときは、コメディならではの誇張した表現に大笑いしたものだが、なに、住んで実際に見てみたら、誇張でもなんでもないじゃあないか。僕だって、警備員のマシンガンを奪って、人質をとって、ケバブを要求したくなってくる。

1ヶ月半の長い闘いが、こうして終わろうとしている。もちろん、ナンバープレートを外交ナンバーにつけかえるという仕事が残っていて、まだ一つくらい小さな波乱があるのかもしれないけれど。
この週末に一気読みした本。ナギーブ・マフフーズを包括的かつ体系的に紹介する日本語で書かれた唯一の本ではないだろうか。

アラブ世界唯一のノーベル文学賞受賞作家ナギーブ・マフフーズについては、僕自身、エジプトへ行くことが決まるまで名前くらいしか聞いたことがなかった。赴任前にあわててアマゾンで検索をかけたら、翻訳としては、『バイナル・カスライン』と『蜃気楼』の二冊の長編と、短編集が一冊あるのみだった。『バイナル・カスライン』は上下二巻におよぶ大著だが、たまたま勝手まもなく盲腸で入院することになったので、その1週間あまりの時間で読みきった。

この八木先生のご著書は、赴任から半年ほどして一度日本に短期間帰ったときに発見。持ち帰ったものの本棚に長いこと暖めていた。でも、一度読み始めたら、ぐいぐい引き込まれていく力を持った本だった。マフフーズ自身が自分の文学を説明した「社会主義スーフィズム」というタームを通して、マフフーズが認識していたエジプト社会の問題と理想の社会を検証した本著では、著者自身によるかなりの数の小説からの引用があって、日本語訳では読めないマフフーズ作品の雰囲気を感じながらおおまかなストーリーラインを把握することもできる。

ただ、マフフーズが理想としたスーフィズムを基礎とする社会は、著者自身が認めているように、スンナの教条的解釈が主勢力となり、個人の信仰としてではなく、制度としてのイスラームが強調されていく傾向の強い昨今のエジプトでは、なかなかに実現の難しいものであると思われる。

そんなことを思いつつも、マフフーズをとても身近に感じられるようになったので、ぼちぼち、英訳を読んでいきたいとも思っているところである。


カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[05/13 Backlinks]
[12/27 すっかる]
[12/26 やもり]
[11/25 すっかる]
[11/25 跡部雄一]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
すっかる・ちーにー・しゅがー
性別:
男性
職業:
国際文化交流
趣味:
カレー
自己紹介:
インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]

Template by MY HEALING ☆彡