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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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最近、在留邦人の有志がエジプトやアラブの歌を歌う会を始めたと聞き、勢いでさっそくメンバーに入れてもらった。その名も「ビラーディーの会」。ビラーディーとは、「私の国」の意味。要は、エジプト国歌のこと。

日本人会の会議室を借りて月に二回催される会では、最初と最後に、起立してエジプト国家を斉唱するのである。作曲したのは、エジプト近代音楽の父、サイード・ダルヴィーシュ。youtubeにはほんとに、なんでものっかっているもので、エジプト国家「ビラーディー、ビラーディー、ビラーディー」もちゃんと聞くことができる。
http://www.youtube.com/watch?v=cYywCPwAZnE

エジプト滞在の長いW先生が作ってくれた英訳を紹介すると、
My country, my country, my country!
You have my love and my heart
Egypt! O mother of all lands
You are my hope and my ambition
And on all people
How can one count the blessings of the Nile
という感じ。

そしてこの日の課題曲は、”Salma Ya Salama"

事前に曲を聴かないで参加したら最後までノリをつかめなかったのだが、これもyoutubeを検索したらちゃんとあった。1977年にDalidaが歌ったSalma Ya Salama。
http://www.youtube.com/watch?v=ulPErOJPXnI&feature=related

あれ、でも、アラビア語じゃない・・・・じゃあ、こっちは?
http://www.youtube.com/watch?v=1LPWIoG3zXU

あれれ、これはドイツ語。
じゃ、こっちは・・・
http://www.youtube.com/watch?v=Wej21-Nt6xw&feature=fvw

あれれれ、なぜかDevdasのマードゥリーとアイシュワリヤが出てきて、インド映画仕様に・・・
よし、じゃあ、これでどうだ!
http://www.youtube.com/watch?v=cPIwRekDUsA

ととと、今度はジプシーキングス!!女性シンガーの方は、Esther Zachというイスラエル人とのこと。アラビア語のこの曲をカバーするということは、ルーツはアラブ系のミズラヒムなのかな。

というように、言葉やアレンジや歌い手を変えたすさまじい数のリメイクが発表されているわけだ。ウィキペディアによると、アラビア語、フランス語、ドイツ語、イタリア語で録音された世界で最初のエスニック・フュージョンのヒット曲とある。70年代に相当ヨーロッパで愛唱された歌なんだと思う。

でもって、こちらがアラビア語(エジプト方言)のオリジナル。
http://www.youtube.com/watch?v=azyIOqB1bfQ

ジプシーキングスのフラメンコ調ノリノリヴァージョンを聞いた後となっては、レッスン中ちんぷんかんぷんだったノリもばっちり掴めて、これは目茶目茶楽しくカッコイイ曲だなーと実感。さあ、練習するぞ!

なお、僕の個人的課題は、アムル・ディアブを弾き語ること。W先生もそのリクエストに応えて、何回か後に彼の歌をとりあげてくれるそうなので、いまから楽しみである。

PR
880442353_m.png.jpeg一聴する限りでは、新しいUKロックかと思わせる。歌も英詞だし。
影響を受けたアーティストを見ると、

Pink Floyd, Radiohead, Peter Gabriel, Blur, Led Zeppelin, Porcupine Tree, U2, The Smiths, Brian Eno, Metallica, Nine Inch Nails, Air, Tool, Archive, The Beatles, Talk Talk, Talking Heads, David Sylvian, Elton John (early), Sigur Ros and more...

と、かなり無節操。プログレ的だけどPink Floydほどテクニックには走っていかない。リストにはないけど、個人的にはPearl Jamっぽさもちょっと感じた。

なかなかにカッコいいロックしてます!

http://www.myspace.com/aprilashband#

imageview.aspx.jpeg英字月刊誌"EGYPT TODAY"の記事、'No-Strings Marriage'(拘束なし結婚)が、昨今の世相を反映したエジプトの結婚事情をわかりやすく教えてくれていて、面白い。

(記事が http://www.egypttoday.com/article.aspx?ArticleID=8531 で読めます。)

イスラーム法で規定された結婚にはいくつかの形式があって、それぞれに適法(ハラール)、違法(ハラーム)の裁定がアズハルなどイスラーム法の番人によってなされている。同じイスラームの解釈であっても国よって個々の事象に対する解釈には差異があるらしいことも記事では紹介されていた。

すべての条件が整った完全な結婚のほかに、この記事で紹介されている結婚形式が2つあって、うち一つは、Mut'aと呼ばれるもので、普通必要とされる証人と後見人いらずで、夫婦となる二人の合意のみで成立する。未婚での性交渉が歓迎されない社会において、もっぱら男性側がせつな的な欲望を満たすために利用するもの、と記事では説明されている。これが、シーア派の解釈ではハラールなのだという。

もう一つの形式が本記事で中心的に紹介されているmisyarで、これは証人や後見人などの要件は満たすものの、新郎から新婦に通常提供されるべきダウリ(結納)やアパートが義務づけられず、かつ夫に妻と同居して家族を営むことも課されていない。Mut'aと似ているが、形式面では契約としてちゃんとしているため、2007年のアズハルのファトワ(裁定)でも、あいまいながらも違法ではないとされたそうで、それがエジプト社会で議論を呼んでいるとある。

この議論の背景には、高騰する物価、急増する都市人口、悪化する失業などの複合的な悪条件のなか、イスラームが定めるあるべき結婚を実現できるケースが激減し、社会が未婚者であふれているという事情がある。ダウリやアパート、結婚指輪を用意しようにも先立つもののない若い男性たちが、いい相手をみつけて家庭をもち、子を設け次世代へとバトンをわたしていくというささやかな願いを実現できず、くすぶっている。当然、男がくすぶっていれば女もあぶれる。政府の統計では、現在この国には、30歳以上の未婚女性が900万から1千万人もいるという。「適齢期」を超えて独身でいることが宗教的モラルとして恥ずべきことと認識されている社会だけに、Mut'a婚同様に男性に都合よく利用されることがわかっていても、いやいやながらmisyar婚を受け入れざるを得ないと感じている女性も多いと書かれている。

おそらくは、誠実に愛し合い家族をもちたいが、資産のないカップルがやむなくMisyar婚を選ぶということもたくさんあるのだろうが、複数妻帯が合法であるイスラーム国にあっては、第二、第三の妻を合法的にもちつつその事実を第一夫人に知られずに済むというメリットから、Misyarを利用するケースも多くあるそうで、だからこそ、この制度を手放しで奨励してしまうことは、総じて社会全体のモラル低下を引き起こしかねないと危惧する人たちも多くいるわけだ。

結婚するかしないか、子どもをもつかもたないか、これらは現代社会においては個々人のまったき自由とされているが、「結婚したくてもできない」、「子どもをもちたくてももてない」エジプトの若者の悲劇を見ていると、宗教や法による縛りがなく両性の合意のみで結婚できることになっている日本は恵まれているとも言えるが、一方でエジプトと同様に晩婚化が進む日本の社会もまた、「未来に希望をもてない」という一点で同根の問題を抱えているのだと思う。
arabtango_cover.jpg一月前、ザマーレクの本屋DIWANのCDコーナーで、一人恍惚と目を閉じて歌う女性のお写真と出会った。そして、アルバムタイトルの"ARABTANGO"という音を心の奥で唱えると、ここではないどこか別世界へトリップ!。ものすごく惹かれてしまう何かがあったのだが、アラブのタンゴなんて言われたって、どんな音か想像つかず、ジャケットだけで買っちゃうのもシャクなもので、その場は心を落ち着けて立ち去った。

しかし、何度か通うたびにこのアルバムの「買え買え」オーラにすっかりやられてしまい、結局購入。しかも、「1枚も3枚も同じことよ」とばかりに、ユーゴスラビアのロマとレバノン人シンガーが共演したCDと、王政エジプト国歌の作曲家サイード・ダルウィーシュのトリビュートも、買い込んでしまう。

自宅で再生してみると、これがまあ、アラブ歌謡とアルゼンチン・タンゴのどちらもが持つ熱さがゼツミョーにブレンドされて、なんだか身体の芯が熱くなってくる。そして、声もまあ、写真のお姿に負けず、超セクシー。

ネットで「アラブタンゴ」を検索すると、結構、このCDが紹介されていて、まず日本にも輸入されている模様。で、アラブに限らず世界の音を聞きまくっているワールドミュージックのツワモノたちがレビューも書いていて、フムフムとにわか勉強させてもらう。

「ワールドミュージック十三番地」(http://blog.goo.ne.jp/lunaluni/e/1879391b0f8d621381ccb6185eb1fef0)の「マリーナ号」さんによると、30年代から50年代にかけて、アラブ地域でタンゴが流行ってフュージョンが演奏されたそうだ。

一方、「Quindembo」(http://www.ma.ccnw.ne.jp/zoiyoi/index.html?=08worst.html)の塚原さんは結構辛口採点で、この方の手にかかると、2008年のワースト4位になってしまう。洗練されすぎているのがアダになっている、とのこと。

ph_asmahan_buda.jpg塚原さんが指摘されているアスマハーンの連想は、マリーナ号さんがアラブタンゴが流行ったと書く30年代から50年代が、ちょうど彼女が活躍した時代と一致することから、同じムーブメントのことを語っているのだと想像される。このアスマハーン、35年にデビューして44年に自殺という短い生涯を駆け抜けたレバノン系のエジプト人で、塚原さんご指摘のとおり、ウンム・クルスームの唯一のライバルだったという伝説の歌手。しかも、美人。エジプトの知人によると、歌では負けないと自負しても美貌ではかなわないと嫉妬したクルスームが、アスマハーンに手をくだしたとの噂が立ったのだそうだ。

その彼女のオハコがアラブタンゴ。写真で紹介しているCDは日本で入手できるもので、このアルバム”アラブ歌謡の伝説”の2曲目、"Ya Habibi Taal"(恋人よ、こっちへ来て)は、そのうちの一つ。

塚原さんはアスマハーンの方がお好きなようだが、ことアラブタンゴの「タンゴ的魅力」でどちらかをとれと言われたら、僕は
このSoumaya Baalbakiさんのほうが好きだ。

ま、どちらもさすがはレバノン人、美人というだけでジャケ買いの誘惑をふりまいていますけど。

カイロ・アメリカン大学の本屋さんの雑誌コーナーにBANIPALという文芸誌が置いてある。英国を拠点にアラブ文学を英語リーダーに紹介する雑誌を年3回、1998年から発行し続けている。

B34FC-Main.jpg最新号の第34号を購入。パラパラとページをめくってみた。

そのときによっては、特定の作家や国の特集に多くのページが割かれたりもするが、今回の号にははっきりした焦点はなく、サウジアラビアの作家4名、イラクの作家3名を、近作の抜粋英訳でもって紹介しているのが目立った塊としてあるくらい。

巻頭は、スーダンの国民的作家で今年2月に亡くなったばかりのTayeb Salih氏の追悼。著名な英文への翻訳家Denys Johnson-Daviesとスーダン人作家のLeila Aboulelaが追悼文を寄稿している。

僕はといえば、まったくこの作家のことを知らなかったのだが、追悼文で目にとまったのは、Tayeb Salih氏が1966年に発表した小説"Season of Migration to the North"は、Penguin Classic Seriesに入っている唯一のアラブ小説だという事実。少ないだろうとは想像するが、まさかこの1冊だけとは!それこそ、BANIPALのような世界にアラブ文学を知らしめる継続的努力が必要な所以だろう。

この作品がレバノンの文芸誌Hiwarに発表され、徐々に本国スーダンにも漏れ入ってきたとき、あまりに自由で開放的な性表現が国内で騒動となったと言う。それとあわせてLeila Aboulelaさんが、ハルツーム大学の寮で、数部しかないコピーを奪い合って、夜中の1時から3時までに限定された"読書可能時間"に一章ずつむさぼり読んだ、というエピソードを書いているのが印象的だ。活字への渇望。自分たちのは何者であるかを問う文章への渇望。小説や本というものが日本のように溢れ返っていないことにたいして、むしろ嫉妬すら覚える話ではないか。

そのほかの記事で、さっそく読んでみたのが、今年のアラブ・ブッカー受賞作、Youssef Zeiden著"Azazeel"の抜粋英訳。5世紀、ネストリウスが異端として破門され教会の再編が行われた時期の一コプト修道士の苦悩を描いた本作は、本国エジプトでは、キリスト教への冒涜だとしてコプト教会が抗議を続けているといった曰くつきの作品。だが、Abdo Wazen氏による解説は、異教徒が他宗教を批判的に書いてはいけないという狭い了見ではなく、どの宗教にまつわる歴史事象であっても、エジプト人である限り誰でも共有財産としてそれについて語って良いとする、おおらかな姿勢でいたいものだと、この政治的論争に冷や水を浴びせている。

なお、小説の素人が他の大家たちをさしおいて受賞したことに対する侃々諤々にいたっては笑止で、Abdo氏は、この賞が作家ではなく作品に対して与えられるものであり、受賞如何が作家の優劣を即座に決めるものではないと、論争をいさめている。この手の嫉妬はどの世界でもある。受賞作品は英訳出版権を与えられ、著者ともどもアラブ世界を超えて有名になるのだから、名誉心の少しでもある人なら、妬みうらやんで当然のこと。

僕ら読者は、もう少し寝て待っていれば、優秀で熱意のある翻訳者と出版社が英訳本を届けてくれるのだから、それを楽しみに待っていよう。
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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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