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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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前回のブログで紹介したバンド、Your Prince Harmingのメンバーで、大統領選に出馬した結果投獄されてしまったアイマン・ヌールの息子、Shadyと会った。前述の本"HEAVY METAL ISLAM"の内容を当地邦人プレスの友人に紹介したら、想像以上に関心をもってくれて、独自に取材を始めてくれたのだ。今日はShadyのインタビューをやるというので、ちゃっかり同席させてもらった。

同社のオフィスに現れたShadyくんは、なんと弱冠16歳。トップが上向きな感じだけど短くまとめたヘアースタイルは、今風とはいえ、メタルのイメージとは違う。体型は華奢で一押しで骨が折れそうな感じだが、話し始めたら、年齢のことを忘れた。この国の権威主義にたてついた勇気ある父の行動は、彼の逮捕を機に、10代の少年をなみはずれた哲学者に育ててしまったようだ。

ジャーナリスティックなセンスでは、「音楽に乗せて父の政治的挫折の無念を晴らす」といったコピーにのっかるようなストーリーが望ましいところだが、当人が語る物語はそこからどんどん外れていく。別に政治的、あるいは反体制的メッセージを広めたいわけではさらさらない。いわんや、権力や大衆がヘヴィーメタルに勝手にはりつけた悪魔崇拝的な主張など、皆無なのだ。

日常の生活でうまくいかないこと、人とのコミュニケーションのすれ違いといったこと、そうしたことの積み重ねが心に刻む痛みといったことを歌に託し、そしてその痛みを表現するために、叫ぶ。ただそれだけの、純粋な芸術表現であるはずの音楽が、必要以上に社会から差別を受け、権力からの弾圧を受けている。メタルコンサートのオーガナイザーは、「今度イベントの企画に関与するときには、その結果に全責任を負うこと」という念書を書かされ、それ以降、身に危険を感じて、コンサートの企画が出来ないと言っているそうだ。

「要は社会は、常に問題の責任をそらし、スケープゴートを必要としているだけ。やれアメリカが悪い、やれイスラエルの陰謀だ、そしてメタルヘッドこそが道徳的退廃をもたらす、って。目の前の問題を自分のでも政府のでもない、第三者の責めに負わせるっていうのが、権力の常套手段でしょ。」とShady。

12月初旬、"HEAVY METAL ISLAM"の著者Mark LevInが、映画クルーを引き連れてエジプトにやってきて、ShadyのYour Prince Hamingなどいくつかのバンドを取材したドキュメンタリー映画を作るそうだ。その撮影の一環として、12月11日、SAWY CULTURE WHEELにて、彼らが総出演するライブが企画されている。

メタルだけじゃなく、テクノやアンビエンス、さらには伝統楽器ウードを使った作曲などへと創作の幅を広げるShadyは、メタル=悪というマジョリティからのレッテル貼り、メタルヘッド=黒Tシャツ+長髪というグルーピー的ステレオタイプのどちらにも違和感をもち、するりするりとその圧力をかわしながら、ジャンルを飛び越えていこうとしている。彼のこの国に対する絶望は深く、「何かが変わるとしても、2世代は先のことだ」とうそぶくが、政治ではなく、弱冠16歳、Shadyのような人間こそが、内部から社会や人を変えていける力を持っているんじゃかいか。この国で自由に音楽をやれる場が完全になくなってしまったら、どこか他の国に行くしかないとも言っていた彼に、勝手な役割を押し付けるのは、ヨソモノの身勝手にすぎないとはわかりつつも、期待しないではいられない何かを彼に感じたのも事実なのだ。
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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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