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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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昨日は、がんばって2本の映画をはしごした。

1本目は、シリアからの"HASIBA"。タイトルの意味がわからぬまま見始めてすぐに、主人公の女性の名前だとわかる。第一次大戦から第二次大戦期にかけてのダマスカスが舞台で、男たちは抗フランス闘争、続いてパレスチナ防衛闘争へと次々と駆り出される時代。家事のみならず家計の切り盛りまで女ががんばらなければならない時代に生きる一人の女を追うという展開。

父から夫から義理の弟まで、とにかく次々と身内が死んでいくあまりの展開の速さに、観客もついていけない感じでいたのだが、かくして女だけになったハシーバの家にある日、フランスを支持する内容の記事を書いた記者をかくまってほしいという知人の依頼を受け、若いハンサムな男性を家に入れたときから、さらに歯車が狂っていく。未亡人ハシーバは、初対面からこの男に惚れてしまうのだが、なんと娘のザイナブも彼を愛してしまい、それを認めまいと制止しようとすると、失神してしまうありさま。結局、ハシーバは、強い嫉妬を押さえ込みながら、家長として家を守ることを優先し、ザイナブと彼の結婚を承認してしまう。この嫉妬がわざわいしてか、この後、さらに事態は悪化していき、ザイナブの夫はパレスチナを救うために家を出ていき、父親を失った息子は、軽食屋を営む裏で武器の密売をやっている男のパシリとなり、幼くして悪に手を染め始める。ザイナブは夫を失い息子の監督をザイナブに奪われ、やがて、発狂して、ハシーバが家にもちこんだ靴下工場の糸車を猛烈な勢いで日々、回し続ける。ザイナブの息子が二日間家にも戻らず学校にも行っていないことがわかると、ハシーバの精神の最後の糸が切れ、それと呼応するかのように、家の中庭に滔々と沸く噴水の水が枯れてしまう。意識を失って、石の噴出口に倒れこんで、出血死してしまう。中庭には、気が狂ったように糸車を回し続けるザイナブだけが残されている・・・・FIN。

作品のメッセージ云々の前に、ラストのシーンー突然吹き出し、その後急激に枯れていく泉、ハシーバの意識とともに回転しはじめる中庭の景色、糸車をまわすザイナブの狂気の目ーが次々とパンされていく映像は、ヒッチコックかはたまたインドのリティック・ゴトクの狂気の世界を思わせ、背筋が冷たくなる。理屈抜きのこうした不条理劇も、ときどき見ると新鮮な感じがした。

"HASIBA"が終了したのが8時50分。そこから急いで移動して、グランドハイヤットホテル内の映画館GOOD NEWSに着いたのが9時5分。9時開始の日本映画、『へばの』は既に始まっていた。前日にインド映画を見た一番大きなホールは、この日もエジプト映画に群がる数百人の群集であふれて、かたや『へばの』はさらに2フロア上の100人程度終了の小ホールに、20人程度が入っているのみ。やっぱり、国際映画祭としては、がっかりな光景と言わざるをえない。

作品は、デジタル映画部門のコンペに出品されたもので、日本では冬にポレポレ東中野でレイトショーとして封切られるようだ。六ヶ所村を舞台にして、結婚を誓った男女を描く。男は原発事故で被曝して、子どもをもちたいという女の夢をかなえられないと思い、ひっそりと村を逃げ出す。三年後、隣町に男が帰ってきたと知って出かけた女は、男が結婚して息子を一人もうけていることを知る。さらに後、やはり原発で働いてきた女の父の訃報を新聞で知った男は、久しぶりに女のもとを訪ねる。そこで語られる事実。男はある子連れの女と出会い、彼らと家族をもつことにした、ということ。女は一旦受け入れようとするが、帰り際に男を殴る、殴る、殴る・・・

その日、二人は車に乗って、あてどなくドライブするが、海の見える場所に車を止めて、交わった。男は原発に反対して東京にプルトニウムを撒くテロを計画するグループに加わっており、女も東京に連れていこうとするが、女は、「私は、ここにいる。」と拒絶。最終的に東京行きをやめた男を、仲間が射殺。女は、男との間で身ごもった子を産み、父が残した家で育てる。

古くて新しい問題。世界の問題に対して、男はその構造を変革しようとして冒険したがる。女は自分のいる場を受入れ、その制約のなかで強く生きようとする。答えは用意されていないが、「そうだよな、そういうものだよな、男と女の世の中って。」と納得させられる映画だった。

上映後、監督の木村文洋さんと主催者によるティーチ・イン。10人程度しか客は残っていなかったが、映画を学ぶ学生が中心で、対話からは映画に対する愛が感じられた。上映中は、やはり携帯がピコピコなったり、会場を出たり入ったりしたり、とにかくせわしないのだが、上映後のこの30分を共有できただけで、それ以前に抱えていたイライラがずいぶんと和らいだ。ある質問は、観客が飽きる前にカットを変えろというユーセフ・シャヒーンの有名な教えを引き合いに出して、木村さんの長回しは長すぎではないかというものだったが、木村さん曰く、自分のなかではこのくらいまでだったら観客は飽きないだろうというギリギリのラインがこのあたりだったので、おそらく文化の違いだろう、とのこと。上映中の携帯電話についても、最前列のおじさんの携帯があまりにも大きな着信音を鳴らし続けていたときには、みんなが声を上げて注意していたので、なるほど、長回し同様、許容度の違いか、と納得させられた。

いい映画なので、関東圏にいる人たちは、ぜひ見てください。28日、閉会式ではたして受賞できるかな?
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