えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。
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静かな革命進行中のSAKIAでは、ほぼ毎月1回、世界最高峰のウード奏者、Naseer Shamma(ナスィール・シャンマ)のコンサートが催され、30エジプト・ポンド(約600円)で素晴らしい演奏を堪能できる。
僕はといえば、SAKIAでナスィールを見るのは初めてだったのだが、2時間半休憩なしのパフォーマンスに、お腹一杯になった。一緒に見た義理の妹も、あまりの素晴らしい演奏ぶりに驚いてしまい、先に見たFATHY SALAMAのバンド演奏とは「ぜんぜん違う」を繰り返していた。幼い頃からアラブ伝統音楽の理論と実践両面での訓練を受けてきたプレイヤーと、いわゆる現代音楽のバンドマンとの間に横たわる演奏技術上のレベルの差は、想像以上に大きいということを痛感しないわけにはいかなかった。FATHYのバンドには、伝統モノにはない良さが一杯あることは間違いないのだが。
常連の知人によれば、7人編成の自身のバンドでの公演は久しぶりだったようで、客席の興奮した感じはそのせいでもあったかもしれない。ナスィール(ウード)の他は、ヴァイオリンが二人、カーヌーン(琴に似た楽器)、ナーイ(葦の縦笛)、コントラバス、レク(タンバリンに似た打楽器)という編成。ヴァイオリンやコントラバスのようなフレットレスの西洋楽器がアラブ音楽と相性が良かったのは、言うまでもなく、西洋12音階にはない1/4音までの微分音を表現できるという利点があったからだろう。もともと大昔から仲間であったかのように、しっくりとアンサンブルをなしている。
公演は、前半3曲ほどがナスィールのウード・ソロで、そこからバンドでのアンサンブルとなる。ソロは、相変わらず超絶技巧なのだが、前日の常味さんによるナスィール評をふまえて聴くと、ちょっと自分にとってはtoo muchと感じられなくもなかった。つまり、ナスィールのウードは、歌の伴奏を中心とする伝統的スタイルからは180度異なる革新的なものであると。とにかく、音の洪水、ロック・ギターに敢えてたとえれば、イングウェイ・マルムスティーンかポール・ギルバートかというくらいの音数に溺れる。
それと比べると、バンド・アンサンブルのほうが個人的には楽しめる。僕は、ウードも好きだが、それ以上にカーヌーンの繊細な響きの虜になってしまった。そして、ウード、カーヌーン、ナーイ、ヴァイオリンの高速ユニソンは、神業のごとくばっちりときまっていて、その寸分の狂いのなさに鳥肌がたつ。
楽曲もヴァラエティに富んでいて、楽しい。古典から、ウンム・クルスームのような伝統に根ざした歌謡曲、そしてナスィール自身のコンポジションまで、幅が広い。それに、古典のなかにもウンム・クルスームやムハンマド・アブデル・ワッハーブの名曲のフレーズを組み込んでくる遊びも楽しい。とっていも、僕にはまだそれらを聞き分ける能力がないから、観客がそれを楽しんで拍手喝さいだったというのが、正確なところ。
いくつかの楽曲には、心底陶酔してしまい、思わず「生きててよかった」とつぶやいてしまう有様。SAKIAのプログラムは、彼らのウェブサイトで公開されているから、日本からエジプトに旅行に来る人は、ぜひナスィール・シャンマの公演日にあわせてスケジュールをたてることをオススメしたい。生きている間に一度は聴いたほうがいいと、聴いた人なら必ず薦めるだろう、そんな素晴らしい音楽です。
SAKIAのウェブサイト http://www.culturewheel.net/English/Default_e.htm
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