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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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土曜日、家族で近所の公園に弁当をもってピクニックに出かけた。

歴史的偉人の胸から上の彫刻が設置され、そのまわりをきれいな花壇でおおったこの公園には、どういうわけだか、ほとんどお客さんがいない。そのくせ、落ち葉拾いや花壇の整備のために10人近いスタッフがのんびりと作業しているから、いったい誰のための公園なのだろうと、いぶかしく思ってしまう。実際、1月に僕らが入居するまで住人だった大家さんたちも、この公園に一般の人たちが入れるかどうか知らなかった。ちなみに、僕らが勝手に「銅像公園」と呼ぶこの公園のど真ん中には、ムバラク大統領の銅像がおわします。ほかはみんな、故人なんですけど・・・・

娘がご飯を待ちきれなくなったので、10時半過ぎにランチをはじめると、めずらしくお客さんが入ってきた。恰幅のよいおばちゃんがムスっとした顔をして僕らのそばのベンチに腰かけたかと思うと、その娘と思しき学校の制服を着た華奢な娘さんもまた、ふてくされた顔をして追いかけてきた。こちらがつくり笑いを投げかけても、まったく反応なし。なんだか居心地悪いなーと思っていると、公園の管理人のサミールさんがやってきて、お母さんのほうとなにやら話し込んでいた。「遅刻・・・」「試験・・・」とかなんとかいう単語が聞こえてきていた。別に話の内容を知りたいなどと思いはしなかったのだけれど、サミールさんはわざわざ僕に、たどたどしい英語とアラビア語をまぜこぜにして、事情を説明してくれた。この娘さん、大事な試験に遅刻して、それで試験終了後の手続きのために待ちぼうけをくわされているのだった。それにしても、女子校生の試験に親が付き添うのか、と多少驚いていたら、帰り道、ちょうど試験が終わって、大量の女子高生が校門から吐き出されてきたその先には、わが子がどうだったのか心配でしょうがないといった風情の親たちが待っていた。

公園の出口では、白い車のボンネットを開けて、おじさんが5~6人の人たちになにやらエンジンの構造について説明をしていた。そういえばここに来るとよく、へたくそなよろよろ運転に出くわし、えらい危ないことだと思っていたが、これは路上自動車教習だった。このおじさんはいったい幾らとっているのだろう?そもそも教習のライセンスとか、もってるのか・・・・そして、この教習を経て免許をとる人たちの運転は大丈夫か・・・・

自動車教習と試験を終えた開放感にはしゃぐ女子高生をやり過ごすと、家の手前50メートルの交差点には、野菜売りのリヤカーをひくロバがいた。売り子さんはどこかに油を売りに出かけたのか、スイカやだいこんなどの野菜をロバに預けて、姿が見えない。一本表に出ると、ナイキだリーバイスだと外資系のショップが軒を連ねる目抜き通りの、その裏では、ロバが野菜をひき、馬がゴミを回収する家畜との共同生活がまだ生きている。そのへんの事情が都市の公衆衛生と伝染病防止という観点からにわかに問題になり、豚の大量屠殺を招いている。都市での人間と動物の共生はインドでも問題になっていて、昨今、デリーでは牛の「放牧」が禁止された。疫学上の問題はよくはわからないが、動物たちにとってもすみにくい世の中になってきたものである。
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昨日、オフィスで警備スタッフが、テレビを見に来いというから行ってみたら、葬式の実況中継だった。
聞くと、ムバラク大統領の孫が急病で亡くなったという。12歳というからなんとも可哀想だ。

なにげなくテレビを見つめていたが、ふと、元首の孫の葬式が生中継されるなんて、ほかの国ではあまりないことなのでは、と思ってしまった。こちらが長い日本人スタッフによると、前に大統領の近しい身内が亡くなったときにはやらなかったことらしい。

83歳になる大統領の健康不安説が日々ささやかれ、後継が息子のガマルになるといううわさがもっともらしく語られる状況で、世襲が既成事実化した場合には次期皇太子のような存在となる孫の死がこうして電波にのって国民に周知されるというのは、なんとも不気味な感じがするものである。

なお、この葬儀にムバラク大統領は出席しなかった。ショックで健康不安がいよいよ深刻になったのか、はたまた、自身の安全が保障されないために見合わせたのか。


新型インフルエンザが世界的に蔓延しはじめているなか、エジプト政府は、国内の豚の屠殺を決定、すでに各地で断行している模様。これに対し、唯一の生計手段を奪われる飼育従事者たちが抵抗して、警官を含め14名の負傷者が出ていると報道されている。

この問題が保険衛生と経済だけでなく文化の領域にまでふみこんでしまっているのは、豚の飼育に従事する人たちがマイノリティのキリスト教徒であるためである。WHOなど国際社会は、豚からヒトへの感染の明確な証拠がない状況で検査をしないで豚を処分することはナンセンスであるとしているにもかかわらず、エジプト政府がこうした思い切った政策を断行する背景に、豚を不浄とするマジョリティのイスラム教徒からの文化的圧力を感じているのだ。新聞報道などでは、キリスト教徒の国会議員も政府決定に賛同しているとし、必ずしもキリスト教徒コミュニティが全体としてこの決定に反対しているわけではなさそうであるし、また、このインフルエンザが当初「豚インフルエンザ」と呼ばれ、イスラム教徒の中に豚とキリスト教徒コミュニティを結びつけて嫌悪感を抱く人々が少なくないことから、むしろそういう緊張感をあらかじめ除去するために処分を断行しているのだ、とする意見も聞かれる。

ここ数日の報道を通してはじめて知ったのは、豚飼育を行っている人々は、Zabaleenと呼ばれるゴミ収集を生業とするコミュニティに属し、集めたゴミのなかから生ゴミをより分けて豚の飼料にしているという。新聞記事では、政府がインフルエンザ騒ぎに乗じてこの地域の不衛生状態を解消させようとしているのでは、と推測していた。この間、日帰りのイチゴ狩りツアーに参加し、大型バスでカイロ市内に戻ってきたとき、背の高いバスの車窓から、塀の向こうに広がるゴミの山をはじめて目撃した。ここがすさまじいのは、市街地にゴミ溜めがあって、しかもその処理をする人たちがゴミと一緒に住んでいるということだ。インフルエンザでなくともほかの病気が発生してもおかしくない環境であることには違いない。

ただ、政府も市民も、日常生活の物資ローテーションをこのZabaleenに負っているわけで、彼らも好き好んで職住接近の不衛生環境を甘受しているわけではないだろうから、インフルエンザに便乗して一気に豚を処分してしまうというのは、あまりに乱暴なことではないだろうか。

この問題が、異宗教、異コミュニティの間の緊張や対立をこれ以上激化させないことを願うばかりだ。


読売新聞1月16日夕刊の記事に、ロシアの言論の自由のことが書かれていた。国境なき記者団の調査で、言論の自由度世界ランキングが144位と低迷。人々は不満をブログにぶつけるしかない、とのこと。

国境なき記者団のウェブサイトで他国の順位を確認。

第一位は、アイスランド。金融で国が崩壊しそうになっても、現実をごまかされずに知ることのできる国民は幸せか?

日本は29位。自慢できる順位とまでは言えないポジション。アメリカ(36位)よりはマシ。自由の国アメリカの言論の自由は以外にもあまり保障されていないのか?

中東をざっと眺めてみると、もっとも高位置にあるのがレバノンの66位。続いてアラブ首長国連邦の69位。自由主義経済政策によって積極的に外資を受け入れてきた二国の位置が相対的に高いのは、もっともなこと。世界の報道のあり方をゆるがすアルジャジーラを抱えるカタールは以外に低くて74位。ジャジーラだけがある種の国策でオルターナティブな視点をグローバルに提供しようとしているだけであって、自由は国民には与えられていないということか?

そして、われらがエジプトは、146位!読売さんが悲惨だと書いたロシアを僅差で追随するポジション。こちらはむしろ、ブロガーをどんどんしょっぴいて個人の発言レベルで自由を抹殺している点が、低評価につながったらしい。

この土日にマリオットホテルで盛大に催された途上国シンクタンク会議の席上、アハラーム政治戦略研究所所長アブデルモネイム・サイード氏は、エジプトでは報道の自由はほぼ完璧に保障されていて、どんなテーマについて何を書いても許される、と言っていたけど、(評価方法は各国記者へのアンケートとしかわからないのだが)客観評価が146位とあっては、さすがに同氏の発言も誇張といわざるを得ないか。

まだ"HEAVY METAL ISLAM"を読んでいる。

この国の権威主義的な抑圧状況に対する抵抗運動としてヘヴィーメタルやヒップホップなどの音楽が機能しているというのは、考えてみればロックそのものが誕生の地アメリカでもともと反権力のシンボルであったことからも、当然の帰結と言えるのではないか。いまや音楽の教科書に採用されてしまったビートルズが、来日公演のときに日本社会に引き起こしたセンセーションは、リアルタイムで当時を知らない自分たちにとっては驚くべきことだが、ビートルズもストーンズもクラシックとなってしまった今、プロテスト・ソングとして力を持ちうるのがより激しいメタルやヒップホップだけになってしまったということだ。

著者のマーク・レヴィン氏はエジプトの章で、反体制的抵抗運動に関わる若者のなかにメタル愛好者が多いことに触れて、両者の親和性を強調する。たとえば、2005年の大統領選挙において、果敢にも対抗馬として出馬し、その後投獄されたまま出てこれないアイマン・ヌールの二人の子どもがメタルヘッズだという。

また、若者の圧倒的支持を集めるブログを書いているHossam El-Hamalawyの"El-3Arabawy"(http://arabist.net/arabawy/)は、Kefaya(キファーヤ=もうたくさんだ)運動の中枢にいるイデオローグだという。メタルが彼の精神的バックボーンにあり、イスラーム神学校に通っていた頃から学校全体がメタル愛好者の巣窟だったと書かれている。このブログはだいたいが英語で書かれているので、アラビア語がわからなくてもイケる。

エジプトでもっとも重要なブロガーとして紹介されているのが、Alaa Abdel FatahとManal Hassan夫婦が手がける"Manal and Alaa's Bit Bucket."(http://www.manalaa.net/)。こちらはアラビア語中心だが、各地での官憲と抵抗者の衝突や音楽ファイルなどが映像や音声でダウンロードできるようになっているので、五感を使って情報をとることができる。

大手メディアが有形無形の検閲を受け事実が隠蔽される傾向にあるなかで、社会で実際に起きていることに目を向けることができる貴重なメディアがあることがわかった。ブログを中心としたネット空間もまた、官憲の手が及んでいて、いたちごっこが続いているらしく、下手をすれば投獄や拷問にあいかねないリスクをしょいながら書いているわけだから、気合の入り方が違う。日本では言葉の暴力でもってブログが炎上するケースがよくあるようだが、物理的暴力と背中合わせのなか、実存をかけて表現しようとする人たちが、地球の反対側に確かに存在している。



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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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