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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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新型インフルエンザが世界的に蔓延しはじめているなか、エジプト政府は、国内の豚の屠殺を決定、すでに各地で断行している模様。これに対し、唯一の生計手段を奪われる飼育従事者たちが抵抗して、警官を含め14名の負傷者が出ていると報道されている。

この問題が保険衛生と経済だけでなく文化の領域にまでふみこんでしまっているのは、豚の飼育に従事する人たちがマイノリティのキリスト教徒であるためである。WHOなど国際社会は、豚からヒトへの感染の明確な証拠がない状況で検査をしないで豚を処分することはナンセンスであるとしているにもかかわらず、エジプト政府がこうした思い切った政策を断行する背景に、豚を不浄とするマジョリティのイスラム教徒からの文化的圧力を感じているのだ。新聞報道などでは、キリスト教徒の国会議員も政府決定に賛同しているとし、必ずしもキリスト教徒コミュニティが全体としてこの決定に反対しているわけではなさそうであるし、また、このインフルエンザが当初「豚インフルエンザ」と呼ばれ、イスラム教徒の中に豚とキリスト教徒コミュニティを結びつけて嫌悪感を抱く人々が少なくないことから、むしろそういう緊張感をあらかじめ除去するために処分を断行しているのだ、とする意見も聞かれる。

ここ数日の報道を通してはじめて知ったのは、豚飼育を行っている人々は、Zabaleenと呼ばれるゴミ収集を生業とするコミュニティに属し、集めたゴミのなかから生ゴミをより分けて豚の飼料にしているという。新聞記事では、政府がインフルエンザ騒ぎに乗じてこの地域の不衛生状態を解消させようとしているのでは、と推測していた。この間、日帰りのイチゴ狩りツアーに参加し、大型バスでカイロ市内に戻ってきたとき、背の高いバスの車窓から、塀の向こうに広がるゴミの山をはじめて目撃した。ここがすさまじいのは、市街地にゴミ溜めがあって、しかもその処理をする人たちがゴミと一緒に住んでいるということだ。インフルエンザでなくともほかの病気が発生してもおかしくない環境であることには違いない。

ただ、政府も市民も、日常生活の物資ローテーションをこのZabaleenに負っているわけで、彼らも好き好んで職住接近の不衛生環境を甘受しているわけではないだろうから、インフルエンザに便乗して一気に豚を処分してしまうというのは、あまりに乱暴なことではないだろうか。

この問題が、異宗教、異コミュニティの間の緊張や対立をこれ以上激化させないことを願うばかりだ。


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