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リンク:Unforgettable night in the Arab TV history (Egyptian Chronicles)
Zeinobiaさんは、エジプトのテレビ番組で首相がこんなに赤裸々に批判され詰問されるのは歴史的イベントだと書いてますが、マスメディアに批判的報道の自由が許されていないなかでは、政治家は番組冒頭のShafiqさんのように自信満々に顎を上げて、コメンテーターや司会をあしらうことができたのでしょう。
ところが、今回は、首相の発言は国民の支持を得られなかったようだし、後半に出てきたAlla Al-Aswanyの執拗な批判的質問に対して、激高して理性的な回答ができなかったことで、どうも軍最高評議会がShafiqを見限ったということらしい。そして、革命グループを中心に国民の多数が望んでいたEssam Sharaf氏を起用することで、軍もまた国民に対してポイントを稼いだわけです。
こうして、メディア上で市民の意見を代弁する知識人や批評家たちに対して、まともな答えをもっていないリーダーは下ろされるという文化が出てくると、メディアを含めたパワーの相互チェック機能が働いて、民主主義がうまく動いていくことが期待できるんじゃないでしょうか。
そして、金曜日のタハリールのデモに新首相自らが下りていって、そして市民の要求を実現できなかったら自分もタハリールに戻ってともにデモを行うと述べるあたりの政治家と市民との接近した距離感は、古代ギリシャの昔話でしか知らない直接民主制を見ているような気がします。
ただ、タハリールが現在の政治を動かす最大勢力であることには間違いないにしても、それ以外の世論も無視できないものがあるし、旧体制の既得権益を持つ人たちが黙って椅子から下りるということも考えにくいので、これからも改革は行きつ戻りつしながら進んでいくのでしょう。3月19日、憲法改正の国民投票。あまりに早い流れには驚くばかりです。
リンク:One thousand turn out to Support Ahmed Shafiq (3月5日Daily News)
Al JazeeraのPeople & Powerという番組のBuilding Egypt's future がとても面白かったので、紹介します。学生から医者からエンジニアから主婦から、立場を超えてエジプト人として運動に集まってきて、侃侃諤諤議論を闘わせながら、軍に対する改革要求を作りあげていきます。この映像を見て、僕は、純粋な民主主義というのはこういうものじゃないかと、いたく興奮しました。
リンク:Buildng Egypt's Future (People & Power, ALJAZEERA)
新首相のEssam Sharafは、都市工学の学者でムバラク時代に運輸大臣に抜擢されるも任期中の列車事故の責任をとって辞任してからは、大学に戻った在野の人。現在ではムバラク体制を批判していて、1月25日から始まったデモに参加していたというのも、革命勢力にとって納得性の高い人事のようです。
当初は首相更迭を求める怒りのデモとして計画されていた今日のデモですが、複数あげている要求のなかでも大きなポイントが実現されたので、少しお祝いモードになるかもしれません。
新首相の自宅近所に住む知人は、この人事をことのほか喜び、彼の人となりを嬉しそうに語ってくれました。貧しいものに施しを与え、病人が出たら自ら病院へ連れていき、地域のために率先して働く人格者だそうです。この人事を喜び、そして地域の改革(壁の塗り替えやゴミ問題改善)を話し合う町内会が昨夜、開かれたとのこと。草の根民主主義がダイレクトに国の政治と連動して、ダイナミックに動いていく。こんなに純度の高い民主主義の実践をそばで体感できるのは、なんと幸せなことでしょう。
3月1日のAhram Onlineによると、革命青年連合は軍最高評議会と今後の政治プロセスについて協議し、3月19日に憲法改正の国民投票、6月に議会選挙、それから6週間以内に大統領選挙を行うと発表したとのことです。
そして、選挙は特別に用意される選挙人カードではなく通常のIDだけで可能とし、司法が責任をもって監督することとしたというのが、ムバラク選挙時代からの大きな進化でしょう。実際、去年11月の下院選挙では、知人は選挙人カードをもらいにいって「今回は出せないから次の選挙のときに申請に来い」と言われたとか、あるいは、投票所まで行ったはいいけれど、入り口前で与党子飼いのチンピラに「誰に投票するか」と詰問され、与党候補者の名前じゃない場合には追い返されたとか、とんでもない話ばかりだったから。それで与党が9割以上の得票率という、独裁国家の操作でしかありえない結果になったわけだから。
それにしても、3月19日国民投票とは、とんでもなく速い展開です。今回の憲法改正は、基本的には民主的選挙を実現するためのミニマムな改正を行うということで、本当の民主憲法制定は、新議会・新政府誕生後の課題ということでしょうか。
これから7月まで、熱い政治の季節が続き、目が離せません。
記事リンク:3/1 Ahram Online
Egyptian Gazetteの記事によると、ムーサ教育大臣が、大学の民主化と自治についての最高裁の決定を遵守して必要な手続きをとると発表したとのこと。
http://213.158.162.45/~egyptian/index.php?action=news&id=15548&title=Moves for Egypt's university independence
要点は、
1.内務省が各大学に送っている「キャンパス・ポリス」を民間の警備員に置き換える
2.現行の不正手続で選出された学生組合を解散し、授業を再開する3月5日から60日以内に公正な選挙を行う
3.任命制だった学部長を教職員による選挙制に変更する
4.学内で女性が二カーブ(顔全体を覆うスカーフ)着用する権利を保障する
大学の民主化は、健全な社会の新陳代謝のために必要不可欠なものだが、2.によってムスリム同胞団が大学における影響力を強化すること、それが4.とリンクして、全体として保障された自由が宗教的な戒律や規則を強化する方向へ行かないかどうかが気になるところ。
一流金融マンでカイロで結構名の通った家の出の彼は、この国ではかなりリッチなクラスに所属しておられるはず。現在、郊外の高級住宅地Sitta October Cityに一戸建てヴィラを建設中で、その間、近所のヴィラを借りて住んでいる。車は4~5万ドルはするボックスカー。
この日の家賃の受け渡し場所として彼が指定したのは、Four Seasons Hotelのロビーカフェ。注文したコーヒーやジュースは、当然にして太っ腹の彼もちだ。
とっても気さくでフレンドリー、まだ40代前半くらいと思われる彼は、
「やあ、元気?」と月並みな挨拶をしたあと、自分の仕事の状況などを話しはじめ、3ヶ月前とまったく同様に、エジプト社会の問題についてとくとくと話し始めた。
とにかく、この国の問題は、貧しいモノたちが働き者のリッチマンと政府に寄生して、ぜんぜん働かないことにある、と。
貧しい人たちやその立場を一部代弁するような評論家たちは、この国の問題は、たいして仕事もしないで甘い汁を吸う既得権者たちだと文句を言う。
お互いにお互いを批判しあって、交わることのない二つのクラスの分断は深刻だ。
これも、長い権威主義体制が生み出した弊害なのだろう。政治的自由を拡充してやることで、立場や利害の異なる人たちがそれぞれのインタレストをぶつけあう場がまったくないから、こうした社会問題の認識や議論もイヤに風通しが悪い。どちらも間違っていないけど、どちらも正しくはない感じといったらいいだろうか。
変化には適切なスピードというものがある。それは否定しない。でも、この人たちには絶対的に変化が必要だ。問題は経済的貧困よりも、あまりの風通しの悪さに人々が窒息しそうなことにある。
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