えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。
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8年もの長きにわたるブッシュ政権が幕を閉じた。この8年を振り返り、日本を含む世界からの評価は当然良いはずもなく、どのメディアも直情的にブッシュ政権の8年が世界を破壊したと報じているよう。
その直接の犠牲者といってよいアラブ世界では、ブッシュ大統領への批判の目はことさら厳しく、彼の肩をもつような意見を聞いたことは皆無と言ってよい。バグダッドにて、地元記者の靴投げパフォーマンスに誰もが喝采を送っていたのが、その鬱積していた感情を体現していた。
他方、オバマ新大統領への期待が対照的にすさまじく高いかというと、そういうこともなく、どこかしら、「誰になってもアメリカは変わらない。ユダヤロビーに突き動かされるアメリカ政治は変わりようがないため、中東和平が誰が指導者になろうとも達成されえない。」という諦念が漂っている。ユダヤロビーの最右翼、ラーム・エマニュエルが大統領主席補佐官にアポイントされたとの報道に、世論は「やっぱりか。」との失望を禁じえない模様である。
さて、1月20日の大統領就任演説。若干22歳の天才スピーチライターの手が入ったなかなかに魅力的な演説ではあったけれど、当地の人々にはどのように聞こえただろうか。関連する箇所を拾ってみた(出典和訳はasahi.comより)
防衛と安全保障を語るくだりにて。現在、アメリカが直接的に戦闘状態にあると言ってよいイラクとアフガニスタンに焦点を絞っての言及。対中東向けのメッセージというよりは、泥沼のイラク占領からの撤退とバーターで元の木阿弥に戻りつつあるアフガニスタンへの兵力増強をという予算シフトを国民にアピールすることが主な狙いか。イラク、アフガニスタンの話しの流れで、この1ヶ月弱で1300人以上もの死者を出したイスラエル=パレスチナ紛争のことが一言も語られないのは、なぜか?
この二つのパラグラフを切り離して語ったレトリックには、テロとイスラム、権威主義政権と市民を峻別して語り、イスラム世界の民衆からいらぬ批判をぶつけられないようにしようという配慮が見てとれる。「テロを~」のくだりでは、イスラムへの言及は一切なく、これだけ読めば、LTTEのような非宗教的なテロ行為までを含むと解することができる。このあとで、アメリカが多宗教、多信条を包摂する共存の倫理をはぐくんできたことを語り、それを世界にあまねく普及する使命を語り、そのあとで、「イスラム世界よ~」以下のくだりが続く。切り離しつつこの2つのパラグラフを接近させることで、聞き手には、これがひとつづきの意味のかたまりであると理解される効果があったように思われるが、そこまで狙って巧妙に設計されたのかもしれない。
また、「イスラム世界よ~」の次に続く文が「紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ~」となっているところにも、ロジックとしてはこの二つは別のよびかけ対象でありながらも、スピーチの流れとしてはこの二者が同列にとらえられてもおかしくない。つまり、イスラム世界の指導者こそが、紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする、と。暗に中東の権威主義的独裁政権、特にイランのアハマディネジャドあたりを狙ったメッセージと、うがった見方ができなくもない。
その直接の犠牲者といってよいアラブ世界では、ブッシュ大統領への批判の目はことさら厳しく、彼の肩をもつような意見を聞いたことは皆無と言ってよい。バグダッドにて、地元記者の靴投げパフォーマンスに誰もが喝采を送っていたのが、その鬱積していた感情を体現していた。
他方、オバマ新大統領への期待が対照的にすさまじく高いかというと、そういうこともなく、どこかしら、「誰になってもアメリカは変わらない。ユダヤロビーに突き動かされるアメリカ政治は変わりようがないため、中東和平が誰が指導者になろうとも達成されえない。」という諦念が漂っている。ユダヤロビーの最右翼、ラーム・エマニュエルが大統領主席補佐官にアポイントされたとの報道に、世論は「やっぱりか。」との失望を禁じえない模様である。
さて、1月20日の大統領就任演説。若干22歳の天才スピーチライターの手が入ったなかなかに魅力的な演説ではあったけれど、当地の人々にはどのように聞こえただろうか。関連する箇所を拾ってみた(出典和訳はasahi.comより)
「我々は、責任ある形で、イラクをイラク国民に委ね、苦労しながらもアフガニスタンに平和を築き始めるだろう。」
防衛と安全保障を語るくだりにて。現在、アメリカが直接的に戦闘状態にあると言ってよいイラクとアフガニスタンに焦点を絞っての言及。対中東向けのメッセージというよりは、泥沼のイラク占領からの撤退とバーターで元の木阿弥に戻りつつあるアフガニスタンへの兵力増強をという予算シフトを国民にアピールすることが主な狙いか。イラク、アフガニスタンの話しの流れで、この1ヶ月弱で1300人以上もの死者を出したイスラエル=パレスチナ紛争のことが一言も語られないのは、なぜか?
「テロを引き起こし、罪のない人を殺すことで目的の推進を図る人々よ、我々は言う。我々の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。あなたたちは、我々より長く生きることはできない。我々は、あなたたちを打ち破るだろう。
(中略)
イスラム世界よ、我々は、相互理解と信頼に基づき、新しく進む道を模索する。紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ、国民は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきだ。腐敗や欺き、さらには異議を唱えるhとを黙らせることで、権力にしがみつく者よ、あなたたちは、歴史の誤った側にいる。握ったこぶしを開くなら、我々は手をさしのべよう。」
この二つのパラグラフを切り離して語ったレトリックには、テロとイスラム、権威主義政権と市民を峻別して語り、イスラム世界の民衆からいらぬ批判をぶつけられないようにしようという配慮が見てとれる。「テロを~」のくだりでは、イスラムへの言及は一切なく、これだけ読めば、LTTEのような非宗教的なテロ行為までを含むと解することができる。このあとで、アメリカが多宗教、多信条を包摂する共存の倫理をはぐくんできたことを語り、それを世界にあまねく普及する使命を語り、そのあとで、「イスラム世界よ~」以下のくだりが続く。切り離しつつこの2つのパラグラフを接近させることで、聞き手には、これがひとつづきの意味のかたまりであると理解される効果があったように思われるが、そこまで狙って巧妙に設計されたのかもしれない。
また、「イスラム世界よ~」の次に続く文が「紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ~」となっているところにも、ロジックとしてはこの二つは別のよびかけ対象でありながらも、スピーチの流れとしてはこの二者が同列にとらえられてもおかしくない。つまり、イスラム世界の指導者こそが、紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする、と。暗に中東の権威主義的独裁政権、特にイランのアハマディネジャドあたりを狙ったメッセージと、うがった見方ができなくもない。
こうしてみると、オバマの就任演説を見た「こちら側」の人たちが、ブッシュ時代の8年とは違うばら色の時代がやってくると期待に涙したということは、どうもありえそうもない。翌朝、通勤途上の車中、うちの運転手も不機嫌そうな顔で、「テレビをつければオガマ、オガマの大合唱で、いい加減に終わりにしろという気分だった。どうせ世の中はなにも変わらないのに・・・・・まあ、せいぜい、彼の健勝を祈ることにしよう。」と言っていた。ミドルネームのフセインを強調していたが、ラストネームが「オガマ」になっていた。なんとなく、彼にとってはどうでもいいことのような気がして、間違いを正すことがためらわれた。
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