えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。
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4月2日の英字紙Egyptian Gazetteの文化欄に、興味深い2つの記事を発見。
一つは、'Palestinian dance festival defies Israeli Closures(パレスチナのダンス・フェス、イスラエルの占領政策に挑む)」という記事で、ラマラで開催される国際ダンス・フェスティバルを紹介している。Ramalla Contemporary Dance Festivalでググってみると、専用サイトを発見。4月24日から連日、日本でも2年続けて演劇作品が上演されたAl Kasaba Theatreの施設などを使って、パレスチナと世界各国のダンス・カンパニーの公演が行われる。
http://www.sirreyeh.org/festival/program.php
残念ながら、日本のカンパニーの参加は予定されていないらしい。基金が自らカンパニーを派遣してもいいし、有志のカンパニーが基金の助成金を得るなどして参加してくれてもいい。こうしたアートによる国際的連帯に、日本からの参加があるということが大事なのではないか、と思うのだが。
もう一つの記事は、'Indian Author Recalls days in Egypt'というもので、世界的に著名で『ガラスの宮殿』など邦訳も多いインド系作家、アミターブ・ゴーシュの顔写真とともに記事が紹介されている。この記事を読んだときには手遅れだったが、アラブ作家同盟の年次総会においてゴーシュが記念講演を行った。4月4日には、ザマレクの書店DIWANでサイン会があるというので、こちらには出かけることができた。
司会の男性が流暢な英語でゴーシュともう1名招待されていたメキシコ人の作家を紹介、続いて二人が簡単に今回の訪埃の感想や自分の作品についての簡単なアウトラインを説明した。もう少し作品についての話しが聞きたかったのだが、趣旨は親睦を目的とするサイン会なので、すぐにお開きとなってしまった。
この日初めて知ったのだが、アミターブ・ゴーシュはかつてオクスフォードで社会人類学を専攻していた際、エジプトをフィールドに選び、80年から約2年間、アレキサンドリア近くの農村に滞在していたという。この日の挨拶でも、田舎暮らしに終始したエジプト滞在を思い出しながら、カイロのなかでもノーブルな雰囲気のザマーレクにはいつも憧憬の念を抱いていたと、冗談交じりに語っていた。その滞在経験をベースに10年後の92年にゴーシュが執筆・出版した旅行記が"In an Antique Land(古代の国にて)"。4年の滞在で身も心も惚れ込んでしまったインドとこの国を代表する作家ゴーシュが、今自分が暮らしその文化や社会に親しもうとしているエジプトを舞台に書いた作品と出会えることが、単純に嬉しくて仕方がなかった。これからしばらくの間、子供が寝静まった後は、もっぱらこの本のページをひもとくことに費やされるだろう。読了したら、このブログでいずれ概略を紹介したいと思う。
なお、この日司会をされていた男性について。当然のことながらアラブ作家同盟の有力者で今回の企画の主催者であろうと想像して、おそるおそる声をかける。Mohamed Salmawyというアハラーム紙フランス語版の主幹で、後日うちのスタッフに聞いたら、ものすごく著名な方だという。その日の会話では、かなり昔に国際交流基金から日本に招待されているともおっしゃっており、日本についても結構知っている。「アラブ作家同盟」として、今回のような企画を日本をテーマにやるとしたら、誰を呼ぶか。ずばり聞いてみた。答えは、
村上春樹。
同氏は村上作品英訳を全部読んで、大のお気に入りだという。
さてさて、いきなりのビッグネームだ。アミターブ・ゴーシュを呼んだんだから、村上さんが出てもおかしくないといえば、そうかもしれないが。
村上さん、来てくれるかなぁ。
って、その前に、アラビア語訳の1冊でもこの世に登場せしめなければなるまい。
>>>>>>
日は変わって、4月5日、土曜日。
この日は日中に、産後の我が家に助っ人としてきてくれた義理の妹を、長女と一緒にピラミッド・博物館へと案内する。晴天に30度程度の気温という、ピラミッド日和な一日で、スフィンクスの見えるKFC(正確には1階のKFCからは見えず、2階のピザ・ハットが目的地なのだが)にも行ったし、楽しい家族サービスができた。
そして、夜の部。午後8時から、オペラハウス小ホールにて、知人が「エジプトの坂本龍一」と称して熱愛するミュージシャン、Fathy Salama(ファトヒー・サラマ)の公演を見に行った。かつてはポップスのコンポーザーとして、アムル・ディアブなど売れっ子シンガーに楽曲を提供してきたファトヒーは、近年自身の音楽世界を深め、上エジプトはヌビア民族の音楽をベースにしたフュージョンへと傾いていったという。そんな彼を一躍有名にしたのが、2004年にセネガルの巨匠ユッスー・ンドゥールが発表しグラミー賞を受賞したアルバム”EGYPT”だった。このアルバムに楽曲を提供し、アレンジなどを手がけることで、世間一般の知名度はそれほどでもないが、いまや知る人ぞ知る「通好み」のアーティストとなった。
http://fathysalama.free.fr/
インドでは、やはり各地の民族音楽を上手にとりこんで現代音楽への昇華させる最高のバンド、Indian Ocean(http://indianoceanmusic.com/)と出会い、様々な縁に導かれて彼らの来日公演が実現したのだが、ここエジプトでも同様のインスピレーションを与えてくれるミュージシャンと出会えるかも、と期待して、この日の公演を迎えた。
といっても、前日、サイン会の折、書店DIWANで彼のグループ、SHARKIATの新譜を買って予習はしていたのだが。
編成は、ファトヒー(ピアノ・シンセサイザー)のほか、パーカッション、タブラ、アコーディオン、エレクトリック・ベースが基本。この日は、スペインからフラメンコ・ギターのFernando Perez、フランスからベーシストのAndre Segone、そしてナーイ(縦笛)とウードを両方こなす盲目のミュージシャン、M. Antarの3名もゲスト参加して、アラブとスペインとフランスが混ざり合うカラフルなライブとなった。
楽曲は、ベースとなるリズムにヌビア音楽のエスニックな要素があるせいなのかどうか、どこまでいっても完全にメロディアスな展開にはならないところが個人的には欲求不満だったが、サビメロの展開には叙情的で鳥肌が立つような曲もいつくかあった。アコーディオンの響きがどことなくピアソラ的叙情をかもし出しているのも良い。
でも、演奏的には、イマイチまとまりに欠ける。ゲスト・ミュージシャンが多いせいか、短時間で合わせた曲が目立ち、バンドの一体感が足りない。アコーディオンとナーイが高速でユニソンを奏でるメロディーが、バタバタっとズレてしまうパターンが何度かあって、せっかく盛り上がりそうな興を冷ましてしまったのが残念だった。結局、一番印象に残ったのは、Fernando氏の艶やかなフラメンコと、タブラのソロの超絶技巧ぶりであった。
11日には、同じオペラハウスの野外シアターにて、ELECTRONICAと題した公演が予定されている。初回のほうはACOUSTICAで、控えめにやったというわけ。最後のMCでファトヒーが、「今度はもっともっとノイジーにやるから楽しみにしていてください!」と言っていた。ノイズだけでなく、バンドとしてもタイトにまとめて、もっと格好いいパフォーマンスを見せてほしいところだ。
公演終了後に彼のところに駆け寄って挨拶を交わした。アルバム・ジャケには日本でも公演したことががあるとあったので、そのことを聞いたら、’long, long time ago'で91年のことだったという。すかさず'You have to refresh(日本体験を更新しなくては!'と社交辞令でつないだが、Indian Oceanとであって自分を貫いた衝撃は、残念ながら、まだやってきていない。単純に自分が年をとったということでなければよいのだが。
一つは、'Palestinian dance festival defies Israeli Closures(パレスチナのダンス・フェス、イスラエルの占領政策に挑む)」という記事で、ラマラで開催される国際ダンス・フェスティバルを紹介している。Ramalla Contemporary Dance Festivalでググってみると、専用サイトを発見。4月24日から連日、日本でも2年続けて演劇作品が上演されたAl Kasaba Theatreの施設などを使って、パレスチナと世界各国のダンス・カンパニーの公演が行われる。
http://www.sirreyeh.org/festival/program.php
残念ながら、日本のカンパニーの参加は予定されていないらしい。基金が自らカンパニーを派遣してもいいし、有志のカンパニーが基金の助成金を得るなどして参加してくれてもいい。こうしたアートによる国際的連帯に、日本からの参加があるということが大事なのではないか、と思うのだが。
もう一つの記事は、'Indian Author Recalls days in Egypt'というもので、世界的に著名で『ガラスの宮殿』など邦訳も多いインド系作家、アミターブ・ゴーシュの顔写真とともに記事が紹介されている。この記事を読んだときには手遅れだったが、アラブ作家同盟の年次総会においてゴーシュが記念講演を行った。4月4日には、ザマレクの書店DIWANでサイン会があるというので、こちらには出かけることができた。
司会の男性が流暢な英語でゴーシュともう1名招待されていたメキシコ人の作家を紹介、続いて二人が簡単に今回の訪埃の感想や自分の作品についての簡単なアウトラインを説明した。もう少し作品についての話しが聞きたかったのだが、趣旨は親睦を目的とするサイン会なので、すぐにお開きとなってしまった。
この日初めて知ったのだが、アミターブ・ゴーシュはかつてオクスフォードで社会人類学を専攻していた際、エジプトをフィールドに選び、80年から約2年間、アレキサンドリア近くの農村に滞在していたという。この日の挨拶でも、田舎暮らしに終始したエジプト滞在を思い出しながら、カイロのなかでもノーブルな雰囲気のザマーレクにはいつも憧憬の念を抱いていたと、冗談交じりに語っていた。その滞在経験をベースに10年後の92年にゴーシュが執筆・出版した旅行記が"In an Antique Land(古代の国にて)"。4年の滞在で身も心も惚れ込んでしまったインドとこの国を代表する作家ゴーシュが、今自分が暮らしその文化や社会に親しもうとしているエジプトを舞台に書いた作品と出会えることが、単純に嬉しくて仕方がなかった。これからしばらくの間、子供が寝静まった後は、もっぱらこの本のページをひもとくことに費やされるだろう。読了したら、このブログでいずれ概略を紹介したいと思う。
なお、この日司会をされていた男性について。当然のことながらアラブ作家同盟の有力者で今回の企画の主催者であろうと想像して、おそるおそる声をかける。Mohamed Salmawyというアハラーム紙フランス語版の主幹で、後日うちのスタッフに聞いたら、ものすごく著名な方だという。その日の会話では、かなり昔に国際交流基金から日本に招待されているともおっしゃっており、日本についても結構知っている。「アラブ作家同盟」として、今回のような企画を日本をテーマにやるとしたら、誰を呼ぶか。ずばり聞いてみた。答えは、
村上春樹。
同氏は村上作品英訳を全部読んで、大のお気に入りだという。
さてさて、いきなりのビッグネームだ。アミターブ・ゴーシュを呼んだんだから、村上さんが出てもおかしくないといえば、そうかもしれないが。
村上さん、来てくれるかなぁ。
って、その前に、アラビア語訳の1冊でもこの世に登場せしめなければなるまい。
>>>>>>
日は変わって、4月5日、土曜日。
この日は日中に、産後の我が家に助っ人としてきてくれた義理の妹を、長女と一緒にピラミッド・博物館へと案内する。晴天に30度程度の気温という、ピラミッド日和な一日で、スフィンクスの見えるKFC(正確には1階のKFCからは見えず、2階のピザ・ハットが目的地なのだが)にも行ったし、楽しい家族サービスができた。
そして、夜の部。午後8時から、オペラハウス小ホールにて、知人が「エジプトの坂本龍一」と称して熱愛するミュージシャン、Fathy Salama(ファトヒー・サラマ)の公演を見に行った。かつてはポップスのコンポーザーとして、アムル・ディアブなど売れっ子シンガーに楽曲を提供してきたファトヒーは、近年自身の音楽世界を深め、上エジプトはヌビア民族の音楽をベースにしたフュージョンへと傾いていったという。そんな彼を一躍有名にしたのが、2004年にセネガルの巨匠ユッスー・ンドゥールが発表しグラミー賞を受賞したアルバム”EGYPT”だった。このアルバムに楽曲を提供し、アレンジなどを手がけることで、世間一般の知名度はそれほどでもないが、いまや知る人ぞ知る「通好み」のアーティストとなった。
http://fathysalama.free.fr/
インドでは、やはり各地の民族音楽を上手にとりこんで現代音楽への昇華させる最高のバンド、Indian Ocean(http://indianoceanmusic.com/)と出会い、様々な縁に導かれて彼らの来日公演が実現したのだが、ここエジプトでも同様のインスピレーションを与えてくれるミュージシャンと出会えるかも、と期待して、この日の公演を迎えた。
といっても、前日、サイン会の折、書店DIWANで彼のグループ、SHARKIATの新譜を買って予習はしていたのだが。
編成は、ファトヒー(ピアノ・シンセサイザー)のほか、パーカッション、タブラ、アコーディオン、エレクトリック・ベースが基本。この日は、スペインからフラメンコ・ギターのFernando Perez、フランスからベーシストのAndre Segone、そしてナーイ(縦笛)とウードを両方こなす盲目のミュージシャン、M. Antarの3名もゲスト参加して、アラブとスペインとフランスが混ざり合うカラフルなライブとなった。
楽曲は、ベースとなるリズムにヌビア音楽のエスニックな要素があるせいなのかどうか、どこまでいっても完全にメロディアスな展開にはならないところが個人的には欲求不満だったが、サビメロの展開には叙情的で鳥肌が立つような曲もいつくかあった。アコーディオンの響きがどことなくピアソラ的叙情をかもし出しているのも良い。
でも、演奏的には、イマイチまとまりに欠ける。ゲスト・ミュージシャンが多いせいか、短時間で合わせた曲が目立ち、バンドの一体感が足りない。アコーディオンとナーイが高速でユニソンを奏でるメロディーが、バタバタっとズレてしまうパターンが何度かあって、せっかく盛り上がりそうな興を冷ましてしまったのが残念だった。結局、一番印象に残ったのは、Fernando氏の艶やかなフラメンコと、タブラのソロの超絶技巧ぶりであった。
11日には、同じオペラハウスの野外シアターにて、ELECTRONICAと題した公演が予定されている。初回のほうはACOUSTICAで、控えめにやったというわけ。最後のMCでファトヒーが、「今度はもっともっとノイジーにやるから楽しみにしていてください!」と言っていた。ノイズだけでなく、バンドとしてもタイトにまとめて、もっと格好いいパフォーマンスを見せてほしいところだ。
公演終了後に彼のところに駆け寄って挨拶を交わした。アルバム・ジャケには日本でも公演したことががあるとあったので、そのことを聞いたら、’long, long time ago'で91年のことだったという。すかさず'You have to refresh(日本体験を更新しなくては!'と社交辞令でつないだが、Indian Oceanとであって自分を貫いた衝撃は、残念ながら、まだやってきていない。単純に自分が年をとったということでなければよいのだが。
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