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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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カイロアメリカン大学の本屋で、"HEAVY METAL ISLAM"というペーパーバックを発見。著者はMark Levinというミュージシャン。ミック・ジャガーなどの世界的ビッグネームとレコーディングやツアーをしているとあり、且つ中東史の大学教授でもある。本のジャケ、もとい、表紙には、ヒジャーブを被った女性がアイアン・メイデンのTシャツを着ている写真が使われている。

著者は音楽や研究を通してモロッコからパキスタンまでイスラーム圏を旅して歩き、各地でヘヴィーメタルやヒップホップなどの激しい音楽に傾倒する若者たちに取材している。この本では、モロッコ、エジプト、パレスチナ、レバノン、イランがとりあげられている。

冒頭数十ページを読んでみた。論旨は、政府や国民のマジョリティがこうした音楽を「悪魔崇拝」の危険な音楽とみなし、これを聞いたり演奏したりする者たちを差別したり弾圧したりしているが、実際のところ、彼らの多くは抑圧的な体制下での権力の腐敗や紛争などの不正義に対する怒りを、この種の音楽を通して表現しているのであって、むしろ彼らこそがこの地域の人々の未来にとって希望である、といったものだった。

エジプトの章は、1997年にヘヴィーメタルを愛好する若者グループが墓を掘り返す、コーランを燃やす、死んだ動物の血を飲む、麻薬を接種するなどの常軌を逸した行動をとったために投獄され、それ以降、「ヘヴィーメタル=悪魔崇拝」というレッテル貼りが定着してしまったという、衝撃的な話から始まる。現在も愛好者は郊外のヴィラなどに密かに集ってライブをやったりしているらしく、その一つとしてHassan Fahmyというヴィラの名前が紹介されている。反面、このブログでもたびたび紹介している文化とアートの拠点、EL SAWY CULTURE WHEELは、公然とヘヴィーメタルグループのライブを企画している、とある。地下潜伏しているヘヴィーメタルを元文化大臣を父にもつサウィー氏が堂々と公に見せるということが、どうして可能となったのか、その経緯については触れられていない。

今日、アインシャムス大学日本語学科大学院の授業を見学したときに、学生の一人の学士論文を見せてもらった。ヘヴィーメタルをテーマにしたユニークなもので、そのなかに、97年の事件やEL SAWY CULTURE WHEELでのコンサートについての記述もあった。彼女がここで見たライブはワイバンという名前のバンドで、テレビで流れる性的な音楽ビデオに対する怒りなどを歌っていたという。この論文に言及されているオープニングのサウィ氏の挨拶は、「ヘヴィーメタルを愛好する人たちは、かつてドラッグに手を染めてしまった。メタルはいい音楽だと証明しよう。それができるのは、ここにいるあなたたちです。」といった内容で、定着した悪いイメージを払拭するために、後ろ指をさされるような行為をつつしみ、音楽そのものが害悪をもたらすものでないことを公明正大に主張せよと、二重のメッセージを若者に伝えたのだという。彼女の論文を読んで、サウィー氏の勇気ある高潔さを知り、彼に対する尊敬の念を強めた。
ちなみに、サウィー氏は非常に敬虔なムスリムである。

これまでに、フュージョンやクラブミュージック的な音楽をやるミュージシャンのことを聞きつけ、彼らのライブを聞きにいったが、ロックやヘヴィーメタルのグループについては情報が入ってこなかった。この本とヘヴィーメタル好きの大学院生を頼りに、エジプトのロックシーンを掘り下げていこうと思う。


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10月30日号の"Number"は野茂英雄を特集している。スポーツ・ジャーナリズズで書かれたものを読む習慣はないのだが、誰もが不可能と思っていたところに道をこじあけ、そしてその後の大きな流れを作った人として尊敬する野茂の記事ということで、吸い込まれるように記事を追った。

普段読まない雑誌にマジメに目を通していると、さらにタナボタ情報がとびこんできた。「jinseiの走り書き」と題して作家、辻仁成が書いている連載記事に、そのニュースは載っていた。

バンド活動再開。

辻仁成といえば、30歳未満の人たちにとっては、「つじ・ひとなり」という売れっ子作家以外の何者でもないはず。
ところが、30代後半から40代にとっては、「つじ・じんせい」というロック・スターこそがその人なのだ。エコーズというバンドを率い、熱い気持ちをストレートなロックサウンドに載せ、僕らティーンズの心に火をともした。1986年のことだったか、月曜日のオールナイト・ニッポンで夜中3時から朝5時までの部でじんせいがDJをやっていて、アメリカの最高にカッコいいロックを次から次へとオンエアーしていた。ロックの教科書のような番組だった。おかげで、高校受験を控えた大事な身体は、すでに火曜の朝から仮眠状態に陥ってしまう始末ではあった。

でも、思えば、ロックが一番元気でかっこよかった時期だったかもしれない。ブルース・スプリングスティーンが4枚組のライブ・アルバムを出して話題をかっさらい、ヴァン・ヘイレンはサミー・ヘイガーをボーカルに立て名盤「5150」を発表、ボン・ジョビは"Slippery When Wet"で世界制覇。U2の歴史的名盤、"Joshua Tree"を聞かないヤツはもぐりだった。日本でも深夜にMTVが民放で流れ、小林克也のBEST HIT USAとともにUS/UKロック普及に貢献していた。じんせいはラジオでフーターズの「Jonny B」をヘヴィ・ローテーションでかけていた。辻仁成も、エコーズも、かれらに劣らずカッコ良かった。

その彼が『ピアニシモ』という小説ですばる文学賞を受賞して、エコーズは解散し、辻仁成はつじ・じんせい改めつじ・ひとなりとなった。彼の小説は、熱き血潮ほとばしる彼の歌詞とは違って、妙に静謐な感じがして、僕には受け入れられなかった。ロッカーの小説がピアニシモだなんて、あまりにも対照的ではないか!音楽の世界とは違う表現をしたいということだったろうし、それは書く人の自由だが、僕は、いまも、彼の小説はほとんど読んでいない。

その彼が、「ふと血が騒い」で、エコーズのギタリスト伊藤浩樹、ジュディ・アンド・マリーの恩田快人と五十嵐公太とともに、バンドを作ったという。「世界一、うるさいロックに」するなんて言うから、めちゃくちゃ楽しみではないか!!ハウンドドックというわけではないが、フォルテシモで針が振り切れる音を出してもらいたい。

そして、その名は、ZAMZAM' BANSHEE。
そう聞いて(読んで)、耳(目)を疑う。ZAMZAMって、メッカに湧くサムザムの聖水のことか??世界一うるさいラウドロックバンドが、なんでイスラミックな名前で出るのかな?

不思議に思って読みすすめると、
「ザムザムはカフカの小説の主人公の名前をもじった。正確にはSAMASMらしいが、日本語発音に忠実にZAMZAMとした。Zで始まるバンド名にあこがれもあった。」とある。どうやら、ザムザムがメッカの泉のことであるとは、ご存知ないらしい。だから辻さんを無知だといって笑いたいわけではない。僕も、イラン航空の機内デスチュワーデスさんが無造作にトレイに置いていった炭酸飲料のカンに書かれた「ZAMZAM」という商品名に、FANTAやPEPSIのような爽快な響きとはあまりに異質な硬質感を感じて、思わず吹き出した経験がある。それが下手をすれば宗教的冒涜になるところだったと知ったのは、自分が中東・イスラーム世界ともう少し密接にかかわりをもってからのことだ。

イスラム圏の人がこのバンドを知ったらなんと思うか興味深いが(ちなみにバンシーのほうは北欧の妖精をさすらしい)、とにかく、エコーズとジュディマリの合体を祝し、どんな豪快な音が50歳間近のおじさんロッカーたちから飛び出してくるか、多いに期待して待つこととしよう。

それにしても、最近、日本でも世界でも、かつて一世を風靡したミュージシャンの再結成でもちきりだ。
モトリー・クルーやドッケンなどハードロック系が多いが、イーグルス28年ぶりのスタジオレコーディングアルバム発表というのも衝撃的だ。30代後半にいる自分は、まだまだ、まだまだ、枯れている場合ではない、ようですね。野茂さんや辻さんのツメの垢を、煎じてちょうだいしたいものである。
7月20日夜9時、EL SAWY CULTURE WHEELにて人気ミュージシャン、Omar Khayratのコンサートに行った。翌21日から29日まで、このSAWYのギャラリースペースを借りて現代日本写真展を開催するため、この日は午後から会場の設営に行っており、終了後そのままコンサートの開始を待った。

今日のコンサートは、ナイル川沿いのオンム・クルスーム通りを挟む両脇にある施設のうち、川沿いのRiver Hallで行われた。椅子席で800人から900人くらい入る高架下のスペースを使った半開きのホールで、屋根のないカフェテリアのスペースまで椅子を置いて、全部で1200~1300人分の席を用意していたが、ほぼ空席なしの満員御礼状態だった。

施設の代表者、ムハンマド・サウィ氏の紹介の後、登場したのは齢70歳を優に超えていると思われるおじいちゃんとそのバックバンドたち。Omar Khayratさんは中央のピアノに悠然と腰かけ、高音域を多用したロマンチックなメロディーを奏でる。バックバンドは、ピアノとリエゾンで絡むカーヌーン(アラブの琴)、4人のホーンセクション、リズム隊がドラム、レク、コンガ、パーカッション、エレキベース。構成としてはリズムが厚いが、決してドカドカと拍を刻むことなく、おとなしく旋律部隊をサポートしているのが、個人的にはつまらなく感じられる。

そして、なんとなくどの曲も似たようなメロディーと曲構成をもち、一曲一曲過ぎ去っていくたびに記憶から消え去っていく。でも、エジプト人の聴衆は彼の曲の一つ一つをしっかりと覚えているようで、イントロが鳴り出すと歓喜の嬌声を上げ、リズム隊に手拍子で応答する。彼の楽曲は有名なテレビドラマや映画でたくさん使われていて、みなの耳にしっかりと記憶されているらしいのだ。

そんなわけで、夜中の11時になってもまだ汗ばむ陽気のカイロの夏の夜に、熱狂する1000人強のエジプト人に囲まれ、なんとなく乗り切れない居心地の悪さを抱えたまま、2時間の公演が終わった。この日の音楽をあえてたとえるなら、「エジプトのポール・モーリア」。このお年でかくしゃくとし、流麗なピアノを聞かせる才能には敬服するが、また、メロディの美しさと聞きやすさも否定はしないが、この音楽の何がエジっ子をこんなに興奮させるのかがわからない。あと2~3年この地で生活して、身も心もエジ化した暁には、この孤立感から解き放たれ、ともに歓喜の嬌声をあげることができるだろうか・・・

いずれにしても、東京のように毎夜数百箇所で公演が行われる土地とは違い、官製の施設はオペラハウスくらいしかないカイロにおいて、EL SAWY CULTURE WHEELだけが、文化を通じた共感を求めるカイロっ子を毎夜ひきつけている。SAWYの威を借りて、うちの写真展にもたくさんの文化愛好家が来てくれそうだ。

やってみたら、「なんだ、こんな単純な構造なのか!」と驚くのが打楽器かもしれない。
とにかく、基本のストラクチャーはえらく簡単なのだ。むしろ、そこにいかにノリを生み出していけるかどうか、あるいは装飾音の手数を増やしてハデにしていけるかどうか、というのが、その後の課題となっていくようである。

というわけで、3回目の基本パターンは、サイーディー。南エジプトのご当地での呼び名で、英語だとUpper Egypt(上のほうのエジプト)と呼ばれる。地図上では下だが、
ナイルの上流にあたるのでUpperということになる。その地のフォークロリック・ミュージックで多用されるリズムがこれだ。

D(半拍)T(1拍)D(半拍)D(1拍)T(1拍) というパターンと、
DDDDT というパターンがある。

前回まで習ったマクスームが
DTTDT および
DDTDT

だから、こうみると

「3つめがDかTか」がマクスームとサイーディを分ける要素と言える。

ドンタックドンドンッタク あるいは
ドンドンッドンドンッタク

と書くとよくわかるように、小節後半にDOMが2発続くのが、マクスームに比べてどっしりとして重い感じを与えている。

実際、スピードも三段階あるマクスームと違って、アーディ(ノーマル)しかない。ゆったりと構え、重く叩け、というのが、先生の指導内容だった。

2時間弱の練習が終わってからも、仲間で飲みながらタブラやベリーダンス談義に花が咲く。
プロのソロ演奏の録音を聞いたりしているうちに、もっともっと上手くなりたいという気持ちが自然と醸成され、半分冗談とはいえ、いつか人前でやってみたいというような話が上がる。

そんな簡単なものではないだろうが、どんな楽器でもコツがつかめてきて上達してくると、希望や熱意といったものが高まってくる。みんな仕事をもっているので練習もコンタントには行かないものの、できるだけ長く続けていければと思っている。
7月6日(日)。1週前はピアニスト田村響さんの公演準備のためいきなり練習ブッチかと危ぶまれたが、他のメンバーの都合もつかず、レッスンそのものが流れてくれた。2週間あけて久々のレッスンは、前回習ったマクスームというリズム(DTTDT)の変形で、DDTDTが基本形。
DOM(半拍)DOM(一拍)TAK(半拍)DOM(一拍)TAK(1泊)の4拍子で、頭にDOMが2階続くので、前回のマクスームよりも重たい感じが出る。

これに3つのスピードがあり、かつESという薬指の装飾音が加わり、ノリを出していく。

先生の音とくらべると、自分の音はいかにも貧弱だが、だんだんと同じパターンを回転させる感覚が身について、自分自身がリズムに乗れるようになってきている。

来週は、サイーディという、エジプト南部のフォークロリックなリズムに挑戦!
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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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