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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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海外生活では、人ににもよるだろうが、日本にいるときよりテレビ依存度が低くなり、そのぶん本を読めると言えるかもしれない。たとえば、インド暮らしをしていたとき、小熊英二さんの1000ページに及ぶ大著『民主と愛国』を、エアコンの効かない自室で2週間くらいかけてもくもくと読むことができたのも、環境がなせる業だったと思う。日本にいたら、薄弱な意志はすぐにより安易な欲望のほうへと流れて、いつまでたっても読了できなかったと思う。

今回は小さい子どもがいる点が違うとはいえ、彼らが寝静まった時間はテレビに向かうでもなく、結局活字に向かうことになる。そして、昨日、司馬遼太郎の『坂の上の雲』、文庫本全8巻を読みきった。これも、大学生のころくらいから読みたい、読まねば、と思い続けて、結局くじけてきた本だから、自己満足度は高い。海外にいると相手国の人から問われることが多いからという理由もあって、日本のことをよりよく知りたいという欲求が高まるもので、最近は特に日本の近現代史を自分のなかで立体的に理解したいという思いが強くある。その意味で、『坂の上の雲』は、心底読んでよかったと思える作品だった。明治の急速な近代化というものを、一握りの政治リーダーよりはむしろ、軍人や文学者など社会の中堅リーダー的な人たちの具体的な行動や思考を追いかけながら描いてみせてくれる本作を通して、現代を生きる自分たちは、近代化という茫漠とした概念が、そうした人間群像の集合意思が有機的に形作られた結果であることを実感できる。この物語の主人公は日清・日露戦争に参戦した軍人たちだが、彼らの能力と意欲の高さは驚くばかりで、戦略・戦術における研究も徹底してやるし、1~2年の留学経験などで通訳を軽々とやってのけてしまうのだから、まったくかなわない。自分たち一人一人が国運を握っているという実感、太く短く生きる武士道のなせる業だろうか。とにかく、自分とは違う種類の人たちが近代日本を創り、守ってくれたのだなと、簡単に納得してしまい、爪の垢を飲もうという意欲はつと出てこないのは、読書体験として良いのだろうか???

これと平行して、4月末にふと、村上春樹の『ノルウェイの森』の冒頭を繰ってみたところ、主人公のワタナベくんが飛行機中のBGMによって過去に引き戻されたのが、37歳だったものだから、自分の37歳があと数日しか残されていないなか、38歳になる前に読みきってしまわなければならないような脅迫観念にとらわれ、26人のグループ受け入れ直前という時期にもかかわらず、春樹ワールドにのめりこんでしまい、公演団とともに向かったアレキサンドリアのホテルで、誕生日の3日前に読了。最初にこの作品を読んだ17歳からちょうど20年。当時は、惚れた腫れただの、愛する者の死だの、ウブな自分にはイマイチ現実感のわかない作品だったけれど、まあ、20年たって、ちょっとは理解できるようになったような気がする。たまたまこの時期、オンム・クルスームのエンタ・オムリーという曲をヘヴィー・ローテーションしていたら、『ノルウェイの森』のBGMが自分のなかで勝手にオンム・クルスームになってしまって、この二つがもはや不可分のものとなってしまった。

そんなわけで、ここ1月ほどの読書体験は、少しもエジプトやアラブ地域理解に結びつくものになっておらず、すこし現実逃避気味。焦燥感から本屋にだけは足を運んで、現代エジプトの政治経済を論じた本を2冊ほど、Gamal El Ghitaniの小悦の新しい英訳などを買い込んで、枕元においてある。次はエジプト本に行こう、と思いつつ、手にとったのは水村美苗の『私小説 from left to right』。まるで試験前の学生のようですね、これでは。

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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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