えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。
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久々に映画館でエジプト映画鑑賞。
事務所のスタッフが知り合いのシネマトグラファーから誘ってもらったから、義理立て上行ってもらわないと困ると言いだし、「今日の今日だぞ、おい!」と思いつつも、永らく映画館に行ってなかったなーと思い、喜んで出かけた。
映画館といっても、オペラハウス敷地内にあるアーティスティック・クリエイティヴィティ・センターなる施設で、1階に芝居の舞台、2階と3階に映画上映施設をもつアート専用スペースだ。比較的新しい施設のようで、イスとか内装がキレイなのも気持ちよい。ただし、1年前にうちが日本映画週間をやったときには、映写技師のテクニックの問題なのか、プリントが切れたり、いろいろトラブルがあった(この日もピンボケ状態の時間がけっこうあって、目薬が欲しかった)。
1週間のエジプト映画の祭典は、エジプト映画クラブという非営利団体が主催するもので、もっぱら会員限定の上映を行い、会員が審査をして賞を授与するというもので、300人は入る会場に30人程度しか入ってなかったのは残念だった。
上映映画は、”Sorry for Disturbance"。和訳すれば、ご迷惑をおかけしてすみません、といったところか。主人公の青年は妄想や幻覚に襲われてもその事実にすら気づかない、重度の統合失調症。喫茶店で見かけた女の子に一目ぼれするが、その後、自分の妄想のなかで彼女とさまざまな交渉をもつが、最後に家族にそれが妄想であったと諭され、失意のまま入院。本人は、もともとそんな女の子はいなかったものと思っていたのだが、完治して退院してみると、同じ喫茶店で同じ顔をした女の子に出会い、今度は精神が分裂しないまま、思いを遂げることができて、最後はハッピーエンドで終わった。
全編、字幕なし、一緒に見た同僚は最初は大声で英語の通訳を入れてくれたけれど、日本人で小心者の僕は周囲のことがいたたまれなくなって、「だいたい、わかると思うから、いいよ。」といって、せっかくの厚意を断ってしまった。結果、やはり7割の会話は理解不能、映像の展開だけでなんとかストーリーラインを追っかけることは出来たけれど、映画そのものを満喫するには、まだまだ言語能力が足りなすぎることが痛いくらいはっきりしたのだった。
それでも面白かったのは、上映後に行われたディスカッション(コロキアム)。映画評論家らしきおじさんが司会をして、会の会員がさまざまな感想を自由に述べていた。ここでは同僚が英語に通訳してくれたので、どんなことが話されているのか、大筋ちゃんとわかった。何人かの人は、この映画を「ビューティフル・マインド」に例えていたが、司会の評論家は、ちょっと前までのエジプト映画はハリウッドのパクリばっかりやっていたけれど、この作品は十分にオリジナリティあふれるもので、くだんの映画に例えるのはあたらないのではないか、と擁護していた。実際、脚本家のアイマン氏は、この作品以前はプロデューサーからハリウッドのパクリのシナリオづくりばかり任されていたのが、今回は、自分でゼロから脚本を書いて、プロデューサーに売り込んだ、ということらしい。
お医者さんを名乗る会員さんのコメントでは、統合失調症のことがよく研究されていて、映画にもよく反映されていると評価しつつ、社会的文脈にも触れて、主人公が書き続けた、届かなかった数百通の大統領への手紙は、支配者と被支配者の間の統合失調症を暗喩していると言っていた。直接的な主張ではないけれど、体制に対する批判が織り込まれていることも評価するべき、ということだった。
どの社会にも映画好きはいっぱいいるが、この国にもそういう種類の人種がいて、延々とまじめに映画談義を楽しんでいる姿が、とても素敵だった。
事務所のスタッフが知り合いのシネマトグラファーから誘ってもらったから、義理立て上行ってもらわないと困ると言いだし、「今日の今日だぞ、おい!」と思いつつも、永らく映画館に行ってなかったなーと思い、喜んで出かけた。
映画館といっても、オペラハウス敷地内にあるアーティスティック・クリエイティヴィティ・センターなる施設で、1階に芝居の舞台、2階と3階に映画上映施設をもつアート専用スペースだ。比較的新しい施設のようで、イスとか内装がキレイなのも気持ちよい。ただし、1年前にうちが日本映画週間をやったときには、映写技師のテクニックの問題なのか、プリントが切れたり、いろいろトラブルがあった(この日もピンボケ状態の時間がけっこうあって、目薬が欲しかった)。
1週間のエジプト映画の祭典は、エジプト映画クラブという非営利団体が主催するもので、もっぱら会員限定の上映を行い、会員が審査をして賞を授与するというもので、300人は入る会場に30人程度しか入ってなかったのは残念だった。
上映映画は、”Sorry for Disturbance"。和訳すれば、ご迷惑をおかけしてすみません、といったところか。主人公の青年は妄想や幻覚に襲われてもその事実にすら気づかない、重度の統合失調症。喫茶店で見かけた女の子に一目ぼれするが、その後、自分の妄想のなかで彼女とさまざまな交渉をもつが、最後に家族にそれが妄想であったと諭され、失意のまま入院。本人は、もともとそんな女の子はいなかったものと思っていたのだが、完治して退院してみると、同じ喫茶店で同じ顔をした女の子に出会い、今度は精神が分裂しないまま、思いを遂げることができて、最後はハッピーエンドで終わった。
全編、字幕なし、一緒に見た同僚は最初は大声で英語の通訳を入れてくれたけれど、日本人で小心者の僕は周囲のことがいたたまれなくなって、「だいたい、わかると思うから、いいよ。」といって、せっかくの厚意を断ってしまった。結果、やはり7割の会話は理解不能、映像の展開だけでなんとかストーリーラインを追っかけることは出来たけれど、映画そのものを満喫するには、まだまだ言語能力が足りなすぎることが痛いくらいはっきりしたのだった。
それでも面白かったのは、上映後に行われたディスカッション(コロキアム)。映画評論家らしきおじさんが司会をして、会の会員がさまざまな感想を自由に述べていた。ここでは同僚が英語に通訳してくれたので、どんなことが話されているのか、大筋ちゃんとわかった。何人かの人は、この映画を「ビューティフル・マインド」に例えていたが、司会の評論家は、ちょっと前までのエジプト映画はハリウッドのパクリばっかりやっていたけれど、この作品は十分にオリジナリティあふれるもので、くだんの映画に例えるのはあたらないのではないか、と擁護していた。実際、脚本家のアイマン氏は、この作品以前はプロデューサーからハリウッドのパクリのシナリオづくりばかり任されていたのが、今回は、自分でゼロから脚本を書いて、プロデューサーに売り込んだ、ということらしい。
お医者さんを名乗る会員さんのコメントでは、統合失調症のことがよく研究されていて、映画にもよく反映されていると評価しつつ、社会的文脈にも触れて、主人公が書き続けた、届かなかった数百通の大統領への手紙は、支配者と被支配者の間の統合失調症を暗喩していると言っていた。直接的な主張ではないけれど、体制に対する批判が織り込まれていることも評価するべき、ということだった。
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男性
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国際文化交流
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自己紹介:
インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。
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