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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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インドでは一人暮らしで、同年齢の男性のお手伝いさんを雇っていた。とにかく気ままで、このR君に家のことをすべてまかせて、毎日夜遅くまで外にいたものだ。このお手伝いさんが料理の達人で、日本料理こそできなかったが、めちゃくちゃ旨いインド料理を毎日こしらえてくれた。食材の調達も、自分でオート三輪を拾って近場のマーケットに行ってくれていたので、僕自身はただ週に1回の会計報告を確認すればいいという、なんともなお気楽ぶりであった。


カイロのお手伝いさん事情はといえば、デリーほどには楽園ではないものの、やはり衰えたとはいえまだまだ強い円パワーで、日本の物価水準からすると比較的安く雇うことができる。うちは2歳の娘がいて、さらにまもなく第二子が生まれるので、目下2人のお手伝いさんに交代で入ってもらって、家事全般を支えてもらっている。東京ではありえない万全のサポート体制といっていい。


我が家の強みはもう一つある。運転手さんだ。
僕の前々任から雇ってかれこれ10年以上、みっちり鍛えられ、そして友情と信頼を育んできた、最強のドライバーさん。ただ車を運転するだけじゃなく、買い物から切れた電球の交換、重たい荷物の運搬、そして子守り(!)まで、なんでも率先してやってくれる、気持ちの優しい機転のきくスーパーマンなのだ。「頼り甲斐」とか「男らしさ」という言葉にもっともふさわしい彼は、同時に僕自身のそうした資質についての自信を揺るがすところもあり、ときどき(適当なところでやめておいてくれ)と思わなくもない。


その運転手さんに案内されての買い物が実に楽しい。
僕が仕事に出ている平日は上さんがこの楽しみを独占しているが、先週土曜日、運転手さんに休日出勤してもらう必要があって、家族3人で揃って外出。用事を済ませた後、エジプト名物の鳩料理とスークでのお買い物をハシゴした。


21ec6922jpegスークは、Dokki(ドッキ)というエリアにあるスレイマン・ゴバラという名前で、運転手さんの実家が近くにある。そういう経緯だから、このスークの売り子さんたちのほとんど全員が彼の友達で、ひげ面コワモテの兄ちゃんや巨漢おばちゃんたちとハイタッチで風を切って歩く彼の姿が、またまた頼り甲斐たっぷりに見える。


当然、外国人料金が課せられるところを、彼が制して歩き、この街の適正な価格で買い物させてくれる。店員さんたちも、彼の「ボス」ということで、一応、一目おいてくれるのだから、楽しくないわけがない。買わないで陳列された野菜やら肉やらを眺めているだけでも、スーパーやコンビニにはない「市場」の原型を想起させてくれ、スークを後にするときには活力を注入されたような気分になる。売り子さんたちも、制服に身を包み誰にも内心を覗かせない完璧な営業スマイルを提供するデパートメント・ストアとは違い、ゴツゴツとした個性が光る。今は値段交渉も運転手さん任せだが、顔を売りこんでいけば、いずれ日々の料金交渉を楽しみながら季節の移り変わりや市場の需給バランスを実感できるようになれるのではないか。そんな期待も抱かせてくれる。


気になる値段だが、カイロが日本と比べてべらぼうに破格かというと、そうでもない。旬のもので供給が多いときは「安いなー」と唸らされるときもあるが、ちょっと季節が違ってきたり、そもそも輸入モノだったりすると、日本の田舎のほうが安く手に入るものもあるように思う。そんななか、季節を問わず安値で買えるのが、エジプトのパン、アエーシュだ。6枚で1.5エジポン(約30円)なんて、嬉しすぎるではないか!しかも、これがアツアツで食べると旨いこと!!我が家でも朝食はもっぱらアエーシュになっている。なんでも、国民の主食であるパンには政府が多額の補助金を拠出していて、需給バランスの変動に関わりなく常に定額・廉価で販売するのだそうだ。以前、政府が補助金を削減して価格を上げようとした際には、街で暴動が起きたそうで、政府としても手をこまねいているらしい。この国もまた、グローバリゼーションに巻き込まれ、市場開放をせまられ、国際競争力をつけろと企業の尻をたたき、政府の市場への介入に抑制的であれとの強い指導を国際機関から受けている。「補助金削減」という外圧と、「国民を飢えさせない」という内政上の至上命題の緊張関係が、政権が独裁的性格が強いだけに、この国では一層深刻であるように見える。

197a9086jpegそれから、今回の買い物で目をひいたのが、アーティチョーク。日本では高級食材屋を飾るこの野菜が、1個1.5エジポンだから、約30円。僕自身は、タケノコみたいな不思議な味のこの野菜は、「一回試せたから、もういいかな。」というのが正直なところだが、好きな人にはたまらないお値段なのではないだろうか?


yagi.JPGもう一つ。やはり日本ではなかなかお目にかかれないのが、肉の「姿売り」!犠牲祭のときなどは、山羊の喉をかき切って血を抜く、イスラーム流の屠殺を街のあちこちで拝めるらしいが、さすがに平時のスークでは、そこまではいかない。それでも、肉屋さんでは、鳥も山羊も、見事に生きていらしたときのお姿を偲ぶことができ、それがゆえに「生かしてくれてありがとう」という、感謝の念が自然と湧いてくるのである。山羊さんの頭部は、まだ生きていらしたときのぬくもりが残っているかのような、そんな表情のように見えた。2歳の娘にスーパーで脚色される前のむきだしの食物連鎖を実感させることができるのは、個人的には大変よきことと思っている。

hato.JPG最後に鳩の話。鳩はエジプトの名物料理で、典型的メニューとしては姿焼きとご飯を詰めた「マハシ」とがある。今回は、モハンデシーン・エリア、レバノン・スクエアすぐ傍の"FARHAT"というお店で食べてみたが、鶏肉ほどモソモソ感がなく、香ばしいサクサク感が嬉しい。難点を言えば、骨が多くて、いちいちよけて食べないといけない点だが、僕にとってはそれを差し引いても週に1度は食べたい味だ(妻はそうでもないらしい)。この鳩の出所はといえば、もちろん公園を歩いているのではなく、ちゃんと専用の巣箱で育った巣立ち前の雛鳥。以前、テレビアラビア語会話でも紹介されていたので知っている人も多いと思うが、白い円錐状の寺院のような建物に何百箇所も穴が開けられているのが、この巣箱で、母親鳩はこの穴から室内に入り、内部に同様に空けられた数百の巣穴に巣をつくり、せっせと卵を産み、雛を育てる。さて、いよいよ大空へ羽ばたくぞ!と勢いをつけた瞬間に、人間様の胃袋へと運ばれていくという訳だ。雛を食べるという行為については、一抹の罪悪感がないでもないが、「これも長い時間培われてきた大事な文化だ」と考える理性と、「とにかく旨いからいいではないか」という本能の両方に押しつぶされて、一瞬よぎる罪悪感は抹殺されてしまうのだった。

エジプトに来る人たちに、オススメしたい味である。
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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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