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えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
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CIMG1601.JPG前任者が1月末にカイロを引き払うやいなや、初仕事として舞い込んできたのが、「日本映画週間」。2月4日から2月7日までの4日間、4本の作品を2回ずつ、計8回の上映を行い、427人の観客を集めた。この入場者数で満足していいものかどうか、いまのところよくわからないが、同時にピラミッドで凧揚げもやってのアクロバティックな展開だっただけに、自分としては終わってほっと一息ついている。



CIMG1600.JPG上映作品は、『スウィングガールズ』(2004年)、『父と暮らせば』(2004年)、『銀河鉄道999』(1980年)、『豪姫』(1992年)の予定だったが、試写したところ『豪姫』のプリント状態が悪く、代わりに『駅』(1981年)を上映することになるというハプニングがあり、妙に浮き足だったイベントとなってしまった。



一息ついたところで、うちのスタッフがアンケート集計を届けてくれたので、興味津々で目を通した。学園青春熱中ドラマの数々で日本中の映画ファンを虜にする矢口史靖監督の『スウィングガールズ』は、文句なしに大好評。アンケートに答えた78人中53人がVery good, 21人がgoodという評価だった。若手、中堅監督の良質なコメディをはじめて見たという観客がほとんどで、その面白さとアーティスティックなレベルの高さの両方に驚いたという感想が多く聞かれた。「矢口節」が世界で遍く愛されるということが、はっきりと確認できた。



『父と暮らせば』は、脚本・ディレクションともに優れた秀作として、自信をもって提供した作品だったが、77人中Ordinaryが5人、Bad or Boringが8人いて、全体としては好評なるも楽しめなかったオーディエンスがいたことがわかった。コメントを見ると、「もっとExterior(外交的な)映画を!」とか、「登場人物が限定されすぎ。ちょっと陰気くさすぎ。」などといった感想がちらほらとあって、この国の映画愛好家のテイストにはなじまない部分があることがわかる。もうちょっと洗練された評価だと「この映画は少し演劇的な傾向が強い。長い劇を見せられているような気分になるが、もう少し映画的に優れたひねりが必要ではないか。」となる。一方では、「ヒロシマについての情報が足りない。自分はもっと知識が得られると期待してきた。」というようなコメントもあり、映画を通して歴史の外形的な情報も得たいと望む人たちがいることがわかった。僕らの感性では、父と娘の間の会話の積み重ねにこそ人間的な情愛が篭っていて美しいということになるのだが、陽気なエジプトの人たちはもう少し外に表出される感情表現を好むのかもしれない。



『銀河鉄道999』は、30年近く前の作品だが、当時のアニメーション技術の粋を凝縮させた傑作は、今見ても決して見劣りがしない。実際、多くの観客がプリントの劣化を嘆きつつも、オリジナルの技術の高さを賞賛していた。コンセプト自体に対する評価も高く、「大きな想像力をもった作品。80年代初頭という時代を感じさせないい今も新しいアイデアが詰まった、人間感情の深みを探求する作品。」という、主催者冥利につきるコメントも頂戴した。興味深いのは、この映画が「政治的」だというコメントを何人かが寄せていることで、ロボットを量産するメーテル星を、「残虐で人間的あたたかみのない悪の技術帝国」とし、それは現代のアメリカを表象しているのではないか、というような読みをしていた。幼少期に松本零二のアニメーションに胸ときめかせた自分としては、星野哲郎の人間としての成長こそが大切な主題なのだが、見る人とコンテクストが変われば、違った見え方があるものだ。



アンケートをとおして、ちょっとだけエジプト人の感性について知ることができた。こういう勉強の積み重ねを大事にしていきたい。

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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

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