えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。
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5月27日金曜日。二度目の怒りの金曜日と称して、タハリール広場に10万人近い人々が集まった。前回の日記に書いたスーザンの釈放とホスニへの恩赦説に激怒した市民が、久々に党派を越えて集まったようだ(ただし、ムスリム同胞団を除いて)。そのほかにも、3月19日に国民投票で承認された改正憲法を無効化して、新たに起草委員会を立ち上げろだとか、9月の議会選挙を遅らせろといった要求も掲げられていた模様。
それに対する今週の政府の反応は、ひとつにホスニ・ムバラク前大統領、ナズィーフ元首相らが携帯、インターネットを止めた罪の確定と罰金の適用。ムバラクには2億ポンド(約4,000万ドル)なんていうすごい数字が課された。しかし、公金横領はもちろん、なによりもデモ隊の殺傷そのものに対する責任を問うという本丸には程遠く、市民の抗議に対して、とりいそぎ結果を出しやすいところから確定させて茶を濁した感はどうしてもぬぐえない。
そして、昨日軍最高評議会が発表したのが、選挙法改正案。9月に予定されている下院議員選挙のベースになる大事な法改正で、革命青年同盟らが旧体制の悪弊を徹底的に除去するよう求めていたけれど、出てきた案は結局、随分保守的なままだったようだ。革命勢力は旧体制では選挙区制のなかで、NDP有力者が金で票を買い漁る不正が横行していたため徹底した比例代表制への移行を求めていたが、本改正案では全議席中3分の2を選挙区制で選出するとした。また、これも以前から軍と市民の対立軸になっていたものだが、農民・労働者と女性へのクォータ制の維持。前者に議席の半分、後者に64議席を分配しようというもの。これは軍と市民の間のイデオロギー闘争というよりは、このような国の形を決めるような事項について軍には変更する権限がないというのが、軍のそもそもの立ち位置。3月の憲法改正でも、国民投票にかけるにも関わらず大統領の権限や選出に係る最低限の条項に手を入れただけで、抜本的な修正は新たに選出される政府と大統領に委ねるというのが、暫定統治権力の一貫した姿勢だ。昨日の抑制の効いた選挙法改正案には、ムスリム同胞団を含む全政治勢力がすかさず反対の意を表明している(リンク:"Draft law introducing mixed electoral system triggers intense debate," Ahram Online)。
もう一つの大きな動きは外交面から。ガザとエジプトとの国境、Rafahが解放され、18歳から40歳までの男性を除くガザ住民は、事前申請なくしてエジプトに入国できることになり、エジプト新政府の仲介で実現したファタハとハマスの和解・統一政権への対話再開に続く、アラブ外交におけるエジプトの復権を印象づけるニュースだ。もちろん、イスラエルがこの動きに警戒感を強めていることはいうまでもないが、18歳から40歳までの「戦闘可能年齢」に事前申請を課すことで、米・イスラエルの懸念にこたえる形をとっているらしい。
こんな感じで、国の形に影響を与える法制度や宗教・民族問題など重い部分には極力保守的に臨み、外交と旧指導層断罪という分りやすい分野で点数を稼ぐという天秤作戦でもって、暫定統治者たる軍は破綻しない程度の舵取りで秋の選挙までもっていこうとしているようだ。
一方で、革命でさんざん悪者にされた警察は完全にいじけて、そこにいるだけで揉め事にまったく介入しようとしないでくの坊状態。その究極の弛緩ぶりをついて、原理主義者や旧支配層が宗教マイノリティという社会の一番弱い部分を狙って社会不安を増強させるし、こうしてちっとも改善しない治安情勢は主幹産業である観光はじめ経済全体にダメージを与え、レイオフなど目に見える痛みをもたらしつつある。マダラ模様に展開するポスト・レヴォリューションは、エジプトをどこに連れていこうとしているのか。
楽観はできない。
それに対する今週の政府の反応は、ひとつにホスニ・ムバラク前大統領、ナズィーフ元首相らが携帯、インターネットを止めた罪の確定と罰金の適用。ムバラクには2億ポンド(約4,000万ドル)なんていうすごい数字が課された。しかし、公金横領はもちろん、なによりもデモ隊の殺傷そのものに対する責任を問うという本丸には程遠く、市民の抗議に対して、とりいそぎ結果を出しやすいところから確定させて茶を濁した感はどうしてもぬぐえない。
そして、昨日軍最高評議会が発表したのが、選挙法改正案。9月に予定されている下院議員選挙のベースになる大事な法改正で、革命青年同盟らが旧体制の悪弊を徹底的に除去するよう求めていたけれど、出てきた案は結局、随分保守的なままだったようだ。革命勢力は旧体制では選挙区制のなかで、NDP有力者が金で票を買い漁る不正が横行していたため徹底した比例代表制への移行を求めていたが、本改正案では全議席中3分の2を選挙区制で選出するとした。また、これも以前から軍と市民の対立軸になっていたものだが、農民・労働者と女性へのクォータ制の維持。前者に議席の半分、後者に64議席を分配しようというもの。これは軍と市民の間のイデオロギー闘争というよりは、このような国の形を決めるような事項について軍には変更する権限がないというのが、軍のそもそもの立ち位置。3月の憲法改正でも、国民投票にかけるにも関わらず大統領の権限や選出に係る最低限の条項に手を入れただけで、抜本的な修正は新たに選出される政府と大統領に委ねるというのが、暫定統治権力の一貫した姿勢だ。昨日の抑制の効いた選挙法改正案には、ムスリム同胞団を含む全政治勢力がすかさず反対の意を表明している(リンク:"Draft law introducing mixed electoral system triggers intense debate," Ahram Online)。
もう一つの大きな動きは外交面から。ガザとエジプトとの国境、Rafahが解放され、18歳から40歳までの男性を除くガザ住民は、事前申請なくしてエジプトに入国できることになり、エジプト新政府の仲介で実現したファタハとハマスの和解・統一政権への対話再開に続く、アラブ外交におけるエジプトの復権を印象づけるニュースだ。もちろん、イスラエルがこの動きに警戒感を強めていることはいうまでもないが、18歳から40歳までの「戦闘可能年齢」に事前申請を課すことで、米・イスラエルの懸念にこたえる形をとっているらしい。
こんな感じで、国の形に影響を与える法制度や宗教・民族問題など重い部分には極力保守的に臨み、外交と旧指導層断罪という分りやすい分野で点数を稼ぐという天秤作戦でもって、暫定統治者たる軍は破綻しない程度の舵取りで秋の選挙までもっていこうとしているようだ。
一方で、革命でさんざん悪者にされた警察は完全にいじけて、そこにいるだけで揉め事にまったく介入しようとしないでくの坊状態。その究極の弛緩ぶりをついて、原理主義者や旧支配層が宗教マイノリティという社会の一番弱い部分を狙って社会不安を増強させるし、こうしてちっとも改善しない治安情勢は主幹産業である観光はじめ経済全体にダメージを与え、レイオフなど目に見える痛みをもたらしつつある。マダラ模様に展開するポスト・レヴォリューションは、エジプトをどこに連れていこうとしているのか。
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インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。
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