忍者ブログ
えじぷとの文化、芸術、エンターテインメント堪能記です。 twitter: @sukkarcheenee facebook: http://www.facebook.com/koji.sato2
[26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

MARK LEVIN著"HEAVY METAL ISLAM"のエジプトの章から得た情報をもとにネット検索を中心に情報収集してみたら、けっこう色々なバンドが引っかかってきた。

最初に出てきたのが、WYVERN(飛龍)。アインシャムス大の学生が
日本とエジプトのヘヴィメタについての学士論文で紹介していたバンドだ。カイロの自由な文化・芸術の拠点、サウィー・カルチャー・ウィールで最初に演奏の機会を得たメタルバンドということで、97年の陰惨な悪魔狩り事件以降地下潜伏を余儀なくされたメタルがようやく日の目を見るきっかけを作る重要な役割を果たした。

発見した映像は、http://www.kiraku.tv/category/35685/movie/1/KZaU4ZsJRww
自身のサイトも持っている。http://www.wyvernegypt.com/

正統派メタルという印象で、ヴォーカルもデスメタルのようなダミ声ではなくしっかりと歌っている。短髪なのは、社会における差別や偏見から逃れるためだろうか。メタルだから長髪でなければならない訳ではないが、欧米の長髪バンドを見慣れた目にはちょっと違和感がある。自身のサイトでも語っているように、社会の不正を糾弾する歌詞を歌っているのであり、社会や権力が一様にメタルバンドにレッテル張りをしている悪魔崇拝とは対極にあると言って良い。

次に発見したのは、2005年大統領選に対抗馬として挑戦したアイマン・ヌール氏の二人の息子がやっているバンド、Your Prince Harming(http://www.facebook.com/pages/Your-Prince-Harming/9309755394)。こちらのルックスはメタルっぽくはないが、ロックらしさは十分に感じさせる。なかなかにイケメン。音は、デスメタルやブラックメタルとカテゴライズされるジャンルに当たるだろうか、ヴォーカルののどを絞った歌いまわしが特徴的。演奏レベルは相当に高度であると言っていいだろう。

最後は、今日、たまたまうちのオフィスのウェブマスターあてにメールを送ってきたアレキサンドリア・ベースのバンド、Massaregbari(http://www.myspace.com/massaregbari)。こちらはメタルではなく、本人たちはProgressive Rockというふうに自己認識している。一聴してまず、歌がかなりいい。キーボードのおもちゃっぽい音は興ざめだが、ベースラインとドラムリズムのコンビネーションもクールだし、かなりカッコイイんじゃないだろうか。マルタ、イスタンブール、イタリアなどのロックフェスに多数出演しているようで、相当の実力派バンドだ。

エジプトのロックは、メインストリームからはあまり見えてこないが、ネットから初めて人脈をたどっていくとなかなかに深くて魅力的な鉱脈かもしれない。早く彼らに会って、スタジオでのセッションやライブを見てみたい。


PR
土曜日、カイロ大学の友人夫婦が、われわれ一家からの執拗なおねだりに降参して、サイイダ・ゼイナブ地区にある超人気ケバブ屋に連れていってくれた。ムハンマド・リファーイという店長の名前で看板を出しているこの老舗は、サイイダ・ゼイナブ・モスクと道路を挟んだ反対側、コーラン学校のある薄暗い路地を半町なかに入ったところにある。ガイドブックには載っていない、カイロのケバブ通の間だけで知られているような店で、日本で言えば通しか知らない薄汚れたラーメン屋に例えれば、あながち遠からずといった感じ。店内には、この店を訪れた有名な歌手、俳優、政治家たちの写真が所狭しと貼られていた。

ケバブ、コフタ、リアーシュ(ラムチョップ)、それにケバブを脂肉で包んで焼いたものを注文した。オーナー独自のハーブ調合で出来たタレをつけて強火で焼いた肉は、どれもやわらかく風味がのって美味しかった。ほぼ大人一人前をたいらげる2歳半の長女を含め、5人で200ポンドだから、約1万円。カイロの庶民にとっては安くない金額ではあるが、そもそも焼肉が最高級の贅沢であるから、この金額は他店と比べればとってもリーゾナブル。

古きよきカイロの下町風情とともに、土地の人が愛する味をお試しあれ。

まだ"HEAVY METAL ISLAM"を読んでいる。

この国の権威主義的な抑圧状況に対する抵抗運動としてヘヴィーメタルやヒップホップなどの音楽が機能しているというのは、考えてみればロックそのものが誕生の地アメリカでもともと反権力のシンボルであったことからも、当然の帰結と言えるのではないか。いまや音楽の教科書に採用されてしまったビートルズが、来日公演のときに日本社会に引き起こしたセンセーションは、リアルタイムで当時を知らない自分たちにとっては驚くべきことだが、ビートルズもストーンズもクラシックとなってしまった今、プロテスト・ソングとして力を持ちうるのがより激しいメタルやヒップホップだけになってしまったということだ。

著者のマーク・レヴィン氏はエジプトの章で、反体制的抵抗運動に関わる若者のなかにメタル愛好者が多いことに触れて、両者の親和性を強調する。たとえば、2005年の大統領選挙において、果敢にも対抗馬として出馬し、その後投獄されたまま出てこれないアイマン・ヌールの二人の子どもがメタルヘッズだという。

また、若者の圧倒的支持を集めるブログを書いているHossam El-Hamalawyの"El-3Arabawy"(http://arabist.net/arabawy/)は、Kefaya(キファーヤ=もうたくさんだ)運動の中枢にいるイデオローグだという。メタルが彼の精神的バックボーンにあり、イスラーム神学校に通っていた頃から学校全体がメタル愛好者の巣窟だったと書かれている。このブログはだいたいが英語で書かれているので、アラビア語がわからなくてもイケる。

エジプトでもっとも重要なブロガーとして紹介されているのが、Alaa Abdel FatahとManal Hassan夫婦が手がける"Manal and Alaa's Bit Bucket."(http://www.manalaa.net/)。こちらはアラビア語中心だが、各地での官憲と抵抗者の衝突や音楽ファイルなどが映像や音声でダウンロードできるようになっているので、五感を使って情報をとることができる。

大手メディアが有形無形の検閲を受け事実が隠蔽される傾向にあるなかで、社会で実際に起きていることに目を向けることができる貴重なメディアがあることがわかった。ブログを中心としたネット空間もまた、官憲の手が及んでいて、いたちごっこが続いているらしく、下手をすれば投獄や拷問にあいかねないリスクをしょいながら書いているわけだから、気合の入り方が違う。日本では言葉の暴力でもってブログが炎上するケースがよくあるようだが、物理的暴力と背中合わせのなか、実存をかけて表現しようとする人たちが、地球の反対側に確かに存在している。



カイロアメリカン大学の本屋で、"HEAVY METAL ISLAM"というペーパーバックを発見。著者はMark Levinというミュージシャン。ミック・ジャガーなどの世界的ビッグネームとレコーディングやツアーをしているとあり、且つ中東史の大学教授でもある。本のジャケ、もとい、表紙には、ヒジャーブを被った女性がアイアン・メイデンのTシャツを着ている写真が使われている。

著者は音楽や研究を通してモロッコからパキスタンまでイスラーム圏を旅して歩き、各地でヘヴィーメタルやヒップホップなどの激しい音楽に傾倒する若者たちに取材している。この本では、モロッコ、エジプト、パレスチナ、レバノン、イランがとりあげられている。

冒頭数十ページを読んでみた。論旨は、政府や国民のマジョリティがこうした音楽を「悪魔崇拝」の危険な音楽とみなし、これを聞いたり演奏したりする者たちを差別したり弾圧したりしているが、実際のところ、彼らの多くは抑圧的な体制下での権力の腐敗や紛争などの不正義に対する怒りを、この種の音楽を通して表現しているのであって、むしろ彼らこそがこの地域の人々の未来にとって希望である、といったものだった。

エジプトの章は、1997年にヘヴィーメタルを愛好する若者グループが墓を掘り返す、コーランを燃やす、死んだ動物の血を飲む、麻薬を接種するなどの常軌を逸した行動をとったために投獄され、それ以降、「ヘヴィーメタル=悪魔崇拝」というレッテル貼りが定着してしまったという、衝撃的な話から始まる。現在も愛好者は郊外のヴィラなどに密かに集ってライブをやったりしているらしく、その一つとしてHassan Fahmyというヴィラの名前が紹介されている。反面、このブログでもたびたび紹介している文化とアートの拠点、EL SAWY CULTURE WHEELは、公然とヘヴィーメタルグループのライブを企画している、とある。地下潜伏しているヘヴィーメタルを元文化大臣を父にもつサウィー氏が堂々と公に見せるということが、どうして可能となったのか、その経緯については触れられていない。

今日、アインシャムス大学日本語学科大学院の授業を見学したときに、学生の一人の学士論文を見せてもらった。ヘヴィーメタルをテーマにしたユニークなもので、そのなかに、97年の事件やEL SAWY CULTURE WHEELでのコンサートについての記述もあった。彼女がここで見たライブはワイバンという名前のバンドで、テレビで流れる性的な音楽ビデオに対する怒りなどを歌っていたという。この論文に言及されているオープニングのサウィ氏の挨拶は、「ヘヴィーメタルを愛好する人たちは、かつてドラッグに手を染めてしまった。メタルはいい音楽だと証明しよう。それができるのは、ここにいるあなたたちです。」といった内容で、定着した悪いイメージを払拭するために、後ろ指をさされるような行為をつつしみ、音楽そのものが害悪をもたらすものでないことを公明正大に主張せよと、二重のメッセージを若者に伝えたのだという。彼女の論文を読んで、サウィー氏の勇気ある高潔さを知り、彼に対する尊敬の念を強めた。
ちなみに、サウィー氏は非常に敬虔なムスリムである。

これまでに、フュージョンやクラブミュージック的な音楽をやるミュージシャンのことを聞きつけ、彼らのライブを聞きにいったが、ロックやヘヴィーメタルのグループについては情報が入ってこなかった。この本とヘヴィーメタル好きの大学院生を頼りに、エジプトのロックシーンを掘り下げていこうと思う。


10月30日号の"Number"は野茂英雄を特集している。スポーツ・ジャーナリズズで書かれたものを読む習慣はないのだが、誰もが不可能と思っていたところに道をこじあけ、そしてその後の大きな流れを作った人として尊敬する野茂の記事ということで、吸い込まれるように記事を追った。

普段読まない雑誌にマジメに目を通していると、さらにタナボタ情報がとびこんできた。「jinseiの走り書き」と題して作家、辻仁成が書いている連載記事に、そのニュースは載っていた。

バンド活動再開。

辻仁成といえば、30歳未満の人たちにとっては、「つじ・ひとなり」という売れっ子作家以外の何者でもないはず。
ところが、30代後半から40代にとっては、「つじ・じんせい」というロック・スターこそがその人なのだ。エコーズというバンドを率い、熱い気持ちをストレートなロックサウンドに載せ、僕らティーンズの心に火をともした。1986年のことだったか、月曜日のオールナイト・ニッポンで夜中3時から朝5時までの部でじんせいがDJをやっていて、アメリカの最高にカッコいいロックを次から次へとオンエアーしていた。ロックの教科書のような番組だった。おかげで、高校受験を控えた大事な身体は、すでに火曜の朝から仮眠状態に陥ってしまう始末ではあった。

でも、思えば、ロックが一番元気でかっこよかった時期だったかもしれない。ブルース・スプリングスティーンが4枚組のライブ・アルバムを出して話題をかっさらい、ヴァン・ヘイレンはサミー・ヘイガーをボーカルに立て名盤「5150」を発表、ボン・ジョビは"Slippery When Wet"で世界制覇。U2の歴史的名盤、"Joshua Tree"を聞かないヤツはもぐりだった。日本でも深夜にMTVが民放で流れ、小林克也のBEST HIT USAとともにUS/UKロック普及に貢献していた。じんせいはラジオでフーターズの「Jonny B」をヘヴィ・ローテーションでかけていた。辻仁成も、エコーズも、かれらに劣らずカッコ良かった。

その彼が『ピアニシモ』という小説ですばる文学賞を受賞して、エコーズは解散し、辻仁成はつじ・じんせい改めつじ・ひとなりとなった。彼の小説は、熱き血潮ほとばしる彼の歌詞とは違って、妙に静謐な感じがして、僕には受け入れられなかった。ロッカーの小説がピアニシモだなんて、あまりにも対照的ではないか!音楽の世界とは違う表現をしたいということだったろうし、それは書く人の自由だが、僕は、いまも、彼の小説はほとんど読んでいない。

その彼が、「ふと血が騒い」で、エコーズのギタリスト伊藤浩樹、ジュディ・アンド・マリーの恩田快人と五十嵐公太とともに、バンドを作ったという。「世界一、うるさいロックに」するなんて言うから、めちゃくちゃ楽しみではないか!!ハウンドドックというわけではないが、フォルテシモで針が振り切れる音を出してもらいたい。

そして、その名は、ZAMZAM' BANSHEE。
そう聞いて(読んで)、耳(目)を疑う。ZAMZAMって、メッカに湧くサムザムの聖水のことか??世界一うるさいラウドロックバンドが、なんでイスラミックな名前で出るのかな?

不思議に思って読みすすめると、
「ザムザムはカフカの小説の主人公の名前をもじった。正確にはSAMASMらしいが、日本語発音に忠実にZAMZAMとした。Zで始まるバンド名にあこがれもあった。」とある。どうやら、ザムザムがメッカの泉のことであるとは、ご存知ないらしい。だから辻さんを無知だといって笑いたいわけではない。僕も、イラン航空の機内デスチュワーデスさんが無造作にトレイに置いていった炭酸飲料のカンに書かれた「ZAMZAM」という商品名に、FANTAやPEPSIのような爽快な響きとはあまりに異質な硬質感を感じて、思わず吹き出した経験がある。それが下手をすれば宗教的冒涜になるところだったと知ったのは、自分が中東・イスラーム世界ともう少し密接にかかわりをもってからのことだ。

イスラム圏の人がこのバンドを知ったらなんと思うか興味深いが(ちなみにバンシーのほうは北欧の妖精をさすらしい)、とにかく、エコーズとジュディマリの合体を祝し、どんな豪快な音が50歳間近のおじさんロッカーたちから飛び出してくるか、多いに期待して待つこととしよう。

それにしても、最近、日本でも世界でも、かつて一世を風靡したミュージシャンの再結成でもちきりだ。
モトリー・クルーやドッケンなどハードロック系が多いが、イーグルス28年ぶりのスタジオレコーディングアルバム発表というのも衝撃的だ。30代後半にいる自分は、まだまだ、まだまだ、枯れている場合ではない、ようですね。野茂さんや辻さんのツメの垢を、煎じてちょうだいしたいものである。
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
[05/13 Backlinks]
[12/27 すっかる]
[12/26 やもり]
[11/25 すっかる]
[11/25 跡部雄一]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
すっかる・ちーにー・しゅがー
性別:
男性
職業:
国際文化交流
趣味:
カレー
自己紹介:
インドで4年生活し、今度はエジプトへ!この国の人々の生態、面白情報をお届けします。

バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]

Template by MY HEALING ☆彡